2021 Fiscal Year Research-status Report
Si基板上のCdTe成長層を用いたX線画像検出器の性能と信頼性向上に関する研究
Project/Area Number |
20K04619
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
Niraula Madan 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20345945)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CdTe 厚膜成長層 / 放射線画像検出器 / 暗電流 / 転位密度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は有機金属気相成長法によるSi基板上の厚膜単結晶CdTe成長層を用いて作製するX線検出器の感度、エネルギ―識別能力の向上と共に検出特性の長期安定化を図ることである。本年度は昨年度と引き続き検出器特性の向上のため検出器の暗電流の低減と成長層の高品質化・成長層の低転位化に関する検討を行った。 Si基板上でのCdTe成長では、両者の格子不整合の原因により、成長層中に高密度の転位が存在する。これらの転位は様々な準位を形成し、検出器暗電流の増加及び検出特性を劣化させる。本検討では成長層の低転位化を目指してCdTe層の成長は低温バッファ層成長と高温成長層と2段階に分けて成長を行った。低温バッファ層の成長後、成長を一時中断して成長層を成長室から取り出し別の装置を用いて熱処理を行った。その後、熱処理を施した成長層を再び成長室に戻して高温成長を行った。その結果、350 oC から400 oC で成長を行ったバッファ層を、成長温度より100から200 oC以上で熱処理を行うことで結晶性が向上できることを確認した。特に、400 oCで成長行ったバッファ層に500 oC で熱処理行い、高温成長を行った場合、バッファ層なしの同条件の成長層に比べて表面モフォロジーや結晶性の大きな改善が見られた。これにより、成長層の表面に現れる転位密度は50%程度の低減が可能になった。今後、アニール時間・回数(サイクル)の検討により転位密度の更なる減少を目指す。 さらにn-CdTeの厚膜化や高電子密度化に関する検討も行った。その結果、従来の成長速度よりも高速成長が可能となり厚膜のn-CdTe層が得られた。しかし、高電子密度化に関する更なる検討が引き続き必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で明らかにしようとしていた課題がおおむね達成できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は昨年度と引き続き、バッファ層のサイクル熱処理検討行うと共にn-CdTeの高電子密度化に関する検討行う。これらに検討を基に検出器を作製して、電極用材料と検出特性の関連を調べて最適な電極材料と形成技術の確立とそれに伴い検出特性の長時間安定化を図る。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で予定していた学会がオンライン開催となったため。余った金額を次年度消耗品として使用予定。
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