2021 Fiscal Year Research-status Report
微細LEDおよび受光素子の異種基板上常温接合と光バイオテクノロジー応用
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20K04620
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
雨宮 嘉照 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任助教 (20448260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 接合技術 / 光バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つが、微小サイズLEDおよび受光素子を異種基板上に常温接合する技術の確立で、前年度までに窒化ガリウム(GaN)基板を用いた発光ダイオード(LED)にて3マイクロメートル程度までのパターニングの可能性があることを走査型電子顕微鏡で確認した。パターニングしたGaN-LEDを発光素子として動作させるには、追加作製工程として電極形成等の工程が必要で、2021年度の研究内容としてはGaN-LEDおよびSilicon-On-Insulator(SOI)基板を用いて、受発光素子として動作させる段階までの作製工程の確立を行った。追加工程を行うにはパターニングの合わせが必要となるが、素子として動作する範囲の合わせの余裕度を電子線描画装置を用いて確保することができた。SOI基板の受光素子とGaN-LED素子の作製で大きく異なる部分としては、材料の違いによるエッチング工程の差はもちろんのこと、素子膜厚の厚さについても留意が必要であることが判明し、特にLED素子の方が厚く作製工程の改善点が多くなった。研究結果から微小サイズLEDおよび受光素子の作製については問題なく遂行でき、フレキシブル基板上への接合および光バイオテクノロジーへの応用実証についての次の研究に移行できる段階まで到達できた。GaN-LED基板以外の基板への一般化についての研究も行い、ガリウム砒素(GaAs)基板を用いて接合工程が可能なことを検証した。GaAsの構造としては微細なLEDの構造ではなく、ある程度大きなサイズの素子にて接合が可能なことを実証した段階だが、GaN基板等で微細構造の作製は可能であったので同様に微細化を行えばGaAs基板でも微細素子の接合が可能であると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の方針としては、まずはGaN-LED素子および受光素子の微細化、新規基板の検討、常温接合工程の確立を行い、その後フレキシブル基板上への接合および光バイオテクノロジーへの応用実証を試みることを計画していた。微細化および新規基板の検討については、前年度より研究が進展しており、研究目的の一つである光バイオテクノロジーへの応用実証が最終年度までに実施できる目途がたっているので、ある程度順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、今年度までに実施できなかったフレキシブル基板上への接合を行い、光バイオテクノロジーへの応用実証を行う予定である。まずは現状の素子特性よりも良好な特性を実現するために、電気特性や光学特性について評価し、その結果を検証して素子構造や作製工程を改善する。引き続き、素子の微細化を推し進め、GaN基板以外の基板としてGaAs基板を用いて微細素子の常温での接合を目指す。センシング応用が可能な程度の素子特性を示した段階で、抗原抗体反応や蛍光標識を用いてセンシング応用の実証を行う。本研究の目的の一つである素子の微細化を評価するために、センシング感度や必要サンプル量について素子サイズの依存性を測定する。
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Causes of Carryover |
今年度までの申請で計上していた物品費については、実験の変更および慎重な選定作業を行ったために当初の予定より少額の使用となり、さらに消耗品などの経費については経済的に実験を行なったために未使用額が生じた。 使用計画としては、実験の変更に際して必要となっている物品を購入し、その他の残りの金額を学会発表の旅費や研究に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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