2022 Fiscal Year Research-status Report
微細LEDおよび受光素子の異種基板上常温接合と光バイオテクノロジー応用
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20K04620
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
雨宮 嘉照 広島大学, ナノデバイス研究所, 特任助教 (20448260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 接合技術 / 光バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的が、微小サイズの発光ダイオード(LED)および受光素子を異種基板上に常温および大気圧下で接合する技術の確立で、前年度までに窒化ガリウム(GaN)基板を用いたLEDにて数マイクロメートル程度までの微細パターニングの可能性があることを確認している。さらにSilicon-On-Insulator(SOI)基板を用いて、受光素子とし動作させる段階までの作製工程の確立を行った。2022年度の研究内容としては、SOI基板上にイオン注入によりpn接合ダイオード受光素子を作製し、電流電圧特性を評価した。パターニングの方法としては前年度まで電子線描画装置を用いていたが、簡易に実験を行うためにマスクの作製が必要でない、マスクレス紫外線露光装置を用いた。10-20マイクロメートル程度の素子構造が作製できたので、SOI基板上の素子やGaN-LEDを異種基板に接続する方法の確立を目指した。レジストを塗布した基板上にSOI基板を用いた受光素子の接合を試みたが、素子の一部分のみ接合ができたが素子全体が接合できる段階までには至っていない。接合前の素子構造の最適化、その構造を実現するための作製工程の改善、接合前の素子表面処理などを変更する必要があることが示唆された。電流電圧特性については、pn接合受光素子上に真空蒸着装置にて電極となるアルミニウムを堆積させて、露光装置にて電極パターンを形成して特性を評価したところ、高性能ではないがダイオード特性である整流特性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究の方針としては、まずはGaN-LED素子および受光素子の微細化、常温接合工程の確立を行い、光バイオテクノロジーへの応用実証を試みることを計画していた。微細化については、前年度より研究が進展したが、常温接合工程の確立が当初の計画では完了している予定だったが研究遂行に時間を要しており、また実験装置が一部破損したことにより、遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、今年度までに実施できなかった異種基板上への接合を行い、光バイオテクノロジーへの応用実証を行う予定である。簡易的に行うために、素子サイズを10-20マイクロメートル程度に統一して実験の推進を図る。接合工程について試行回数を増加させることにより、素子構造に対してフィードバックさせて、安定的に接合が行える素子構造や作製工程を模索する。異種基板に接合できた段階で抗原抗体反応や蛍光標識を用いてセンシング応用の実証を行う。本研究の目的の一つは素子の微細化であり、素子を微細化したことによりバイオセンサーとしてのセンシング感度や必要サンプル量がどの程度変化するのかを評価する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度までの申請で計上していた物品費については、主な理由としては実験の変更に伴う物品の購入時期等の変更により当初の予定より少額の使用となり、さらに消耗品などの経費については経済的に実験を行なったために未使用額が生じた。 使用計画としては、実験の変更に際して必要となっている物品の購入および学会発表の旅費や研究に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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