2022 Fiscal Year Annual Research Report
Lensless image sensor using silicon through-hole array chip
Project/Area Number |
20K04621
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
有馬 裕 九州工業大学, 産学イノベーションセンター, 教授 (10325582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レンズレスイメージセンサー / シリコンスルーホールチップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的目的は光の屈折や回折・干渉現象を利用しない光学装置の可能性を検証することであり、工学的目的は究極の薄型イメージセンサーを低コストで実現することである。そこで、本研究では光の屈折現象を利用した光学レンズや、回折・干渉現象を利用した従来のレンズレス手法などとは異なる新たな手法を提案する。具体的には、半導体シリコン基板に矩形のスルーホールを形成したスルーホールチップと一般的なイメージセンサーチップを密着させるデバイス構成を提案する。この構成においては、スルーホール下にあるイメージセンサーの各画素ではレンズ等の集光装置を介さないため、ぼやけた画像しか直接検知できない。しかし、それぞれの画素からそのスルーホールを介して見える視野範囲は画素毎に(画素配置位置に応じて)少しずつ変わる性質を有している。その画素毎の視野範囲の違いを利用して、より狭い視野範囲の受光量を算出する処理を行うことにより画像の鮮明化を試みる。その技術によりスルーホールチップ厚0.5mmとイメージセンサーチップ厚0.5mmの合計1mm程度の超薄型レンズレスイメージセンサーを低コストで実現可能となる。 実際にDeep RIE装置を用いてシリコン基板に矩形のスルーホールを形成したスルーホールチップを試作し、既存のイメージセンサーチップの受光面に密着設置した装置を作成して実験評価した。当初、十分に鮮明化できなかったので、鮮明化推定信号値の空間変化を特徴量としてその元信号の位相関係(視野のズレ)を用いてコスト関数を定義することで、そのコストが小さくなる解を導出する新たな手法を考案した。この手法の導入によって、取得画像を鮮明化できることが確認できた。しかし、本研究期間内の実験では誤った推定箇所が部分的に残っており、十分な精度でのレンズレス画像を得ることはできなかった。コスト関数の更なる改良が必要なことが分かった。
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