2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on ultra-sensitive sensor using horizontal slot waveguides with localized light in very small area
Project/Area Number |
20K04628
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
中津原 克己 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (70339894)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スロット導波路 / センサ / 局在光 / 薄膜積層技術 / 選択的エッチング技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
高屈折率媒質領域に挟まれたスロット領域は、その微小な領域に光を強く閉じ込めることが可能であり、本研究では、中空水平スロット領域内に閉じ込めた高いパワー密度の光を活用した高感度な導波路形光センサを実現することを目指している。研究計画の初年度である2020年度は超高感度センサに必要な水平スロット導波路に関する基礎的技術の検討を行った。高屈折率媒質として五酸化ニオブを用いた水平スロット導波路の理論特性解析と製作技術の検討を行った。 理論解析では、導波路断面内の正規化光パワー密度分布の解析を行い、スロット層厚やスロット位置、導波路幅等の構造パラメータ依存性を明らかにした。 製作技術に関しては、水平スロット導波路の形成の第一段階である五酸化ニオブとその間に挟まれた二酸化ケイ素薄膜の積層構造を反応性DCスパッタリング装置によって高速かつ精密に成膜する技術を確立した。さらに電子ビーム描画装置による導波路パターン形成技術ならびに反応性ドライエッチング装置によるディープリッジ構造の形成技術の検討を行った。これらの成果をもとに、垂直スロット構造では実現が困難なスロット幅に相当する厚さ30nm未満の微小な中空スロットを有する水平スロット導波路の製作に成功した。 さらに、センシング動作の実証に用いる鋭い波長依存性を有する構造として、導波路側壁に周期構造を施したバーティカルグレーティング構造の検討を行った。FDTD法による特性解析、構造設計をした後、電子ビーム描画装置による周期構造のパターン形成を行い、試作した素子において、周期構造を有する水平スロット導波路に特徴的な波長特性を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度として基礎的な要素技術の開発が不可欠で、素子構造の設計技術とともに高い精度の素子製作技術の確立のためには、プロセス技術との対応した理論解析の積み重ねが重要である。2020年度の開始から新型コロナウイルス感染拡大防止対策として大学構内への入構制限等を受け、素子の試作、要素技術の確立の遂行に大きな影響が生じた。2020年度後半から検討したプロセス技術との対応を進めるため、光導波路特性解析用計算機サーバーを導入し、理論解析環境の増強を図った。数多くの研究成果を発表できる段階でなく、成果発表の観点ではやや遅れているが、現在、プロセス技術と理論解析の対応が進められ、今後、基本センサ素子の開発が進展していくと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
理論解析と中空水平スロット導波路の試作を続け、それぞれの結果を相互に反映させながら、水平スロット導波路の特性評価を明らかにし、特性改善を図る。また、高感度センシングに必要な鋭い波長特性を実現する構造として、分布反射器を用いた共振器に加え、マイクロリング共振器の理論特性解析と試作を行う。試作した分布反射器形共振器ならびにマイクロリング共振器の特性評価をもとに、基本センサ素子の設計及び動作実証を行う。基本センサ素子の特性評価結果を詳細に分析しながら、センサ素子製作プロセスの改善を図る。さらに、センサ感度の向上のために、中空水平スロット自体の構造の検討を行うとともに、中空水平スロットを組み込んだ共振器の設計・構造の検討を行う。また、検出部に用いる中空水平スロット導波路への接続部分で不要な反射などを抑制するための構造の検討も行う。さらなるセンサ感度向上に向けて、分布帰還形水平スロット導波路について理論的に検討し、製作技術の開発に取り組む。本研究で得られた特徴的成果についてセンシング以外の他分野への応用展開の技術的検討を行い、必要な課題を明らかにする。
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