2020 Fiscal Year Research-status Report
Mode division multiplexing light source using volume hologram
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20K04636
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
品田 聡 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所フォトニックネットワークシステム研究室, 研究マネージャー (00392720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空間分割多重 / モード多重 / ホログラム / レーザアレイ / ファイバアレイ / 数モードファイバ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開発では,エルビウム添加数モードファイバ(FMF)を利得媒体とする光増幅器のモード間利得差を補償するための励起光源として,レーザアレイと角度多重体積ホログラムを組み合わせた簡易なモード多重光源を検討している. 今期は,体積ホログラムのモード多重間隔に対し,必要となるファイバアレイ間隔およびレンズ焦点距離を決めるとともに,異波長記録再生法(記録と再生を異なる波長で行うホログラム)に基づく記録時パラメータを解析した.記録光および参照光波長532 nm(入射角差14°),再生光波長980 nmを想定し,多重間隔を1°と設計したとき,基板角を約0.23°ずつ,参照光入射角を約0.53°ずつ変えて記録することにより,再生光入射角1°間隔に異なるモードを生成できると見積もられる.次期は,このパラメータを用いて体積ホログラムを生成し,回折角および回折効率を評価する. 次に,ホログラム材料の調達前の代替として,空間位相変調器(LCOS)を用い,3本の単一モードファイバ(SMF)から出射される光の回折およびモード変換を検証した.液晶セルサイズ(20 μm)の2n倍の回折格子で回折角が決まるため,各モードの回折光が揃うように各SMFの位置を調整した.各SMF(位置x= -76.8,0,155.0 μm)から出射するコリメート光を焦点距離8 mmのレンズを通し,異なる角度(0.55°,0°,1.11°)でLCOSに入射させる.さらに,LCOS上のホログラム(160,80,40 μm周期のCGH)により回析およびモード変換を行い,FMFに結合させた.LCOSのため3モードを同時生成できないが,回折後,5dB以下の損失で全モードをFMFへ結合できることを確認した.体積ホログラムを用いることにより,複数モードを同時にFMFへ結合させ,光源出力の調整により,増幅利得差の補償ができると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今期に計画していた体積ホログラムの記録パラメータの解析を済ませ,体積ホログラム記録用の空間光学系の設計および構築も完了している.コロナ禍の影響で体積ホログラム生成用のポリマー材料の調達が遅れている(2021年7月頃納品予定)ため,LCOS上のCGH(Computer-Generated Hologram)を代替とした回折およびモード変換の検証を別途進めることとした.入射角の異なる3本のビーム毎になるが,表示させるCGHを変えることにより,共通する一方向への回折と異なるモード変換(LP01,LP11a,LP11b)を実現し,一本の数モードファイバ(FMF)への結合を確認した.本提案構成の原理検証を済ませており,全体を通して,計画通りの進捗といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
光増幅器の励起光波長である980 nm帯において,高い回折効率をもちモード変換を実現する角度多重体積ホログラムを生成するため,異波長記録再生法に基づき解析した記録パラメータを用いた記録実験および評価を進め,最適な露光条件を明らかにする.回折効率や数モードファイバ(FMF)への結合効率等を評価し,多重数3モード以上で,各モード70%以上の回折効率の実現を目指す.また,再生用(励起用)光源として,半導体レーザアレイ単体,または半導体レーザと平面光分岐回路・ファイバアレイ等を組み合わせたアレイ光源を設計し,製作する. 最終年度は,製作した角度多重体積ホログラムおよびアレイ光源を組み合わせたモード多重光源を構成し,評価を行う.アレイ光源からの各ビームを,レンズを介して角度多重体積ホログラムに入射させ,回折される各LPモードを評価する.各モードの回折効率や,FMFへの結合効率を評価するとともに,アレイ光源の各出力を変調することにより,任意の空間分布が得られることを示す.また,得られた結果を取りまとめて,国内外の学会,論文誌等で発表を行う.
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Causes of Carryover |
コロナ禍や半導体供給不足の影響により,調達物品の納期遅れが生じ,また国内外の会議の無料オンライン開催により,旅費の使用がなかった.次年度以降に,遅れている物品の調達を進め,また旅費は,会議参加費や論文投稿費として使用する予定である.
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