2020 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between delayed ettringite formation (DEF) and its expansion and degradation caused by DEF
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20K04637
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
羽原 俊祐 岩手大学, 理工学部, 教授 (10400178)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エトリンガイトの遅延生成 / 骨材 / DEF / DEF膨張 / コンクリートの耐久性 / 膨張 |
Outline of Annual Research Achievements |
材齢初期に、70℃以上の高温履歴を受けると、生成したエトリンガイトは、分解する。供用時に外部から水が浸入してくると、エトリンガイトから分解していた硫酸イオン、アルミン酸組成物は反応して新たなエトリンガイトを生成する現象がDEFである。コンクリートはこれが原因となって膨張破壊する場合があり、 これがDEF膨張と呼ばれている。70℃以上の高温履歴を受けたすべてのコンクリートはDEF を起こすが、すべてのコンクリートはDEF膨張するとは限らない。このことがDEF膨張に対する制御を難しくしている。 ここでは、DEFとDEF膨張の関係について、材料科学的見地から、どのような条件でDEF膨張が起こり、エトリンガイトの再生成と関係するのか、DEF が起こっている硬化体とDEF膨張が起こっている硬化体での硫酸イオンの移動、エトリンガイトの分布などを調べ、DEF膨張が起こる状況を明確化することを目指す。 DEFが起こる可能性のある限界温度70℃以上の温度(80℃、90℃)で、早強セメントおよび普通セメントを用いた配合での、アルカリ量と硫酸塩量の許容値を把握するため、3年を超える長期材齢での許容を整理した。 DEF及びDEF膨張が骨材の種類により膨張時期が大きく変動する。特にスラグ細骨材を使用した場合にはこの傾向が強い。DEF膨張を起こしていない硬化体組織から膨張を起こした材齢におけるエトリンガイトの構成成分である硫黄S分の移動について調べ、硬化体組織の変化について調べてみる。DEF膨張が起こる原因について、材齢の経過に伴うエトリンガイトの生成、微細エトリンガイトの消失と、ひび割れへのエトリンガイトの2次生成の追跡を、硬化体観察を通して、DEFとDEF膨張の関係を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DEFについては新しい研究課題であるが、しばしばアルカリ骨材反応と同時におこる場合が見受けられることなどから、アルカリ骨材反応の国際会議ICAARでDEFについての研究成果も報告されることが多い。当初、ICAAR2020は6月リスボン市(ポルトガル)で開催予定であったが、コロナ感染拡大のため、2022年6月開催に延期され、すでに投稿している論文についても、新しいデータを入れて、改訂することが許された。ICAAR 2020-2022への投稿、2020年に得られた長期の実験データも追加し、本文の改訂を行った。また、より理解されやすい内容に、書き換えた。これらについては改訂を行い、2021年2月に修正原稿を事務局に提出した。 スラグ骨材を用いた硬化体の連続測定・経過観察の実施を行っている。硬化体の解析からは、70℃以上の加熱養生を行ったものでは、材齢13週でエトリンガイトの再生成DEFが認められるが、スラグ細骨材を使用した場合には膨張にいたっていない。同硬化体での硫黄Sの分布は、ペースト組織内に均一化しており、DEF膨張の兆しはない。継続測定の実施を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
2020はコロナ感染拡大防止により、十分な実験の進行が抑制されたが、2021年度は 、不足なく進むよう改善を図る。JCIのDEF研究員会メンバーと今後の課題について、リモート会議、最近の研究成果について海外研究者ともリモート会議で情報を収集整理している。21年3月末で、岩手大学を定年退職し、現役の小山田准教授の協力を得て、本テーマを遂行している。住居を千葉市内に移したこともあるが、協力体制は万全であり、必要に応じて、盛岡(岩手大学)の研究室を訪問し、テーマの実行を行う。
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Causes of Carryover |
令和2年4月より、コロナ感染拡大予防措置のため、大学での研究活動に大いに支障をきたしたことが大きな理由である。今年度はこれを考慮して、前年度の繰越額と合わせ、次年度(令和3年度)の予算を執行する予定である。
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Research Products
(4 results)