2022 Fiscal Year Research-status Report
道路構造物に埋設された金属補強材の腐食状況を磁気で探る研究法の開発
Project/Area Number |
20K04639
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竜田 尚希 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 助教 (30521314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 英男 富山大学, 理学部, 客員教授 (30134993)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 維持管理 / 磁気 / 金属腐植 / 補強土壁 / 探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
道路構造物に埋設された金属補強材の腐食状況の研究は,従来,一部を現地構造物より取出して行われてきた.この方法は時間も費用もかかり,また現状を変えることになるので,新たな非破壊の調査が望まれていた.本研究では,金属補強材の土中での腐食を,磁性の変化で探ることを考えた.具体的には,金属補強材の磁性の腐食による変化を実験で調べ,磁性変化に伴い,金属補強材が周囲に及ぼす磁場の大きさの変化を非破壊の磁気探査法で探る.室内腐食実験により鉄製品の磁性の変化に関する研究を行い,屋外実験で磁気探査によって腐食状況を地表から非接触で探る方法の有効性を調べた. 本年度は,室内実験で腐食促進剤塗布と電気腐食の2つの方法で鉄板サンプルを腐食させ比較した.磁化は誘導磁化と残留磁化の2つからなり,それぞれ帯磁率計とフラックスゲート磁力計で測定した.腐食促進剤を塗布した場合は腐食が鉄板サンプル表面のみに留まり有意な結果は得られなかった.一方で電気腐食の場合は,腐植による体積減少に伴い誘導磁化・残留磁化ともに減少する傾向がみられた. 屋外実験では補強材を地中に0.5m~1mの異なる深さで埋設し地表から光ポンピング磁力計で磁場を測定した.その結果,補強材の両端付近の測定値の変化が大きくなり,補強材が永久磁石になっていることが確認された.また補強材を深く埋設するほど測定値の変化は小さくなる傾向がみられた.さらに補強材を欠損させたり切断させたりして腐食状態を再現し,これを地表に置いて磁場を測定した.欠損前の磁場と比較すると測定値が変化していた. 室内実験・屋外実験を通して腐食により鉄板の体積が減少し,それに伴い鉄板の磁化も減少することが確認できた.これより磁気探査が非破壊調査として利用できる可能性が高いという結論に至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述の様に,室内実験および屋外実験を順調に行うことができ,当初の計画通りの成果を得ることができた. しかし,コロナ禍による協力会社との調整不足により,屋外実験のスタートを延期せざるを得なくなったため,実験成果を得る時期が相対的に遅れる結果となった. 以上の様に本研究は,総合的に考えて計画よりやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
屋外実験のデータを継続して収集することで,腐植による磁場の変化を観察していく. 腐食により鉄板の体積が減少し,それに伴い鉄板の磁化も減少することが確認できたが,腐植の激しい場所や腐植による欠損部の特定には更なる検証が必要であり,磁場計測のより詳細な解析を行う. また,最終年度として研究成果の発表を行っていく.
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Causes of Carryover |
最終年度に屋外実験のスタートを延期せざるを得なくなったため,実験成果を得る時期が相対的に遅れる結果となった. 次年度に屋外実験のデータを継続して収集することで,腐植による磁場の変化を観察していく.また、腐食により鉄板の体積が減少し,それに伴い鉄板の磁化も減少することが確認できたが,腐植の激しい場所や腐植による欠損部の特定には更なる検証が必要であり,磁場計測のより詳細な解析を行う. 繰り越した経費は屋外実験等に関わる消耗品類の費用と研究成果の発表費用として使用する予定である.
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Research Products
(10 results)