2021 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートの表層品質及び劣化程度に応じた表面含浸材の適用とその効果
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20K04647
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Research Institution | Hachinohe Institute of Technology |
Principal Investigator |
迫井 裕樹 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30453294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿波 稔 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (10295959)
月永 洋一 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60124898)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンクリート / 耐久性 / 表面含浸材 / スケーリング抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリートの耐久性向上のための一手法として,表面含浸材による表層品質の向上が挙げられる。しかしそれらに関する検討の多くは,新設構造物を対象とした場合が多く,既存構造物に対する含浸材効果の検討は少ないのが現状である。既存構造物を想定した際,含浸材施工前に,経年に伴う劣化を生じていることが想定され,新設構造物を対象とした場合と同様の効果が得られるか不明である。 2021年度は主として,凍結融解作用に伴うスケーリング劣化の程度が異なる供試体を用いて,劣化後の含浸材施工がその後の耐久性に及ぼす影響について実験的検討を行った。含浸材施工前の劣化程度の制御については,凍結融解サイクル数による制御を行い,所定の期間,凍結融解作用を受けた後に含浸材の施工を行い,その後の耐久性について検討を行った。 得られた結果より,施工前の劣化程度と含浸材種類により,その後の劣化抑制効果に差異が生じることが明らかとなった。けい酸塩系含浸材を用いた場合,含浸材施工前の劣化が少ない場合には,含浸材施工後の劣化進行を抑制可能であるが,劣化が多くなった後の含浸材施工では,劣化進行の抑制効果が小さくなることが示された。つまり,凍結融解作用を受ける環境下での既存コンクリートに対して含浸材を施工する際,可能な限り早期に含浸材を施工することが,その後の耐久性を確保し,劣化進行を抑制することが可能となることが明らかとなった。また,含浸材種類として,けい酸塩系とシラン系の複合型を用いた場合は,本研究の範囲内で,劣化程度の大小にかかわらず,劣化進行の抑制が可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は,含浸材施工前に劣化作用を受けたコンクリートを対象として,劣化程度(凍結融解サイクル)を実験要因として,含浸材施工後の耐久性について実験的検討を行った。また種類の異なる含浸材を数種類用いて,含浸材種類による効果の差異についても併せて検討を行った。 これらは,当初計画の内容をほぼ実施できており,次年度検討予定項目の基礎データとして活用できるものと思われる。2020~2021年度に得られた結果を基に,2022年度,当初計画の検討内容を進めるとともに,2021年度までに得られた結果の再整理・詳細な分析等を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は主として,実環境における含浸材の効果および,含浸材再施工の効果について検討を行う計画である。約20年前に建設され,建設直後に含浸材を施工した実構造物を対象として,コア供試体を採取し,検討に用いる計画である。なお対象構造物は,建設当初,隣接する部位に含浸材施工を行っていない部位を設けており,当該箇所からもコア供試体を採取し,同様の検討を行う予定である。各箇所から採取したコア供試体を用いて,全塩化物イオン濃度分布の測定による塩分浸透抵抗性および,スケーリング試験による実環境下で約20年経過後の残存性能を評価する。併せて採取したコア供試体に含浸材を再施工し,その効果についても検討を行う予定である。 これらの結果と,前年度までの結果を踏まえ,含浸材効果の持続性,既設コンクリート構造物の耐久性向上について整理するとともに,室内試験結果から実環境下での耐久性予測を検討する予定である。
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