2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K04656
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤田 訓裕 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (60532364)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 散乱中性子 / イメージング / 3次元再構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子ビームを用いたコンクリート内部劣化の3次元非破壊可視化技術について、初年度としては測定方式の可能性について検討した後、計算機を用いたシミュレーション、および物品の調達を行った。また、既存のヘリウム3比例計数管を用いた2次元のコンクリート内部劣化計測実験を行い、従来では不可能であった1cm以下の厚さの滞水や空隙の検出が可能であることを確認した。この反射中性子を用いてコンクリート内部の劣化を測定する技術をとりまとめ、特許出願を行った。また、シミュレーション開発については論文発表およびシンポジウム発表を行った。 3次元イメージング手法としては、高速中性子を入射し、コンクリート内部から反射で戻ってきた高速中性子と熱中性子について別々のイメージング検出器を用意し、それぞれの比を取ることで、水分が存在する深さ(かぶり)に関する情報が得られると言うことが判明した。 このシミュレーションによる結果を受けて、高速中性子を2次元イメージング出来る、シンチレーションカウンターを用いた検出器の制作を行うことに決定した。熱中性子については既存のヘリウム3比例計数管を用いたイメージング装置を用いて、それと組み合わせる事とした。 シンチレーションカウンターとしては米国Eljen社製EJ-270を用い、光検出器としては浜松ホトニクス社製MPPCのS13360シリーズを用いることとし、それぞれを組み合わせた検出器テスト測定を行うために素子サイズについて3パターンの調達を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元イメージングを達成するための新しい計測手法についての検討は、当初想定以上に時間がかかったが、高速中性子測定を行うことで可能であることが、シミュレーション開発により明らかとなったため、開発方針が定まった。現在は少量の検出器素子と読み出し系を調達して、テスト測定の準備を進めているところである。また、従来使われてきた熱中性子検出器を用いたイメージング技術の開発も進めており、論文、シンポジウム発表を行ったほか、特許出願も行った。 以上より、計画はおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
高速中性子用シンチレーションカウンターおよび光検出器MPPCを組み合わせた検出器のテストを行う。最初にカリフォルニウム線源を用いた基本的な波形測定テストを、行った後、理研小型中性子源RANS-IIを用いて中性子ビーム照射を行う。棒状のシンチレータを使って位置分解能の評価も行う。 実験結果が良好であれば、2次元イメージングが可能となるように棒状の大面積用のシンチレータと光検出器をそろえてゆく。 位置分解能が不足する場合は小型シンチレータを2次元的に配置したピクセル型に変更することも検討する。
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Causes of Carryover |
3次元計測の手法検討に当初予定より時間がかかったため、物品の調達が間に合わなかった。 今後は、検出器の基礎テストが終わった後、2次元イメージング装置構築のために大面積用の検出器調達を行う。
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