2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K04656
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤田 訓裕 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 研究員 (60532364)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中性子 / 散乱イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,国内外において橋(橋梁)やトンネルといった交通インフラの老朽化が社会問題となっている。橋梁の経年劣化で緊急性が高いのが,床版と呼ばれる鉄とコンクリートで構成される構造物である。床版の劣化は上面の舗装を剥がさないと確認できないため,放置した結果,ある日突然道路に穴が開くといった事象も報告されている。この様な大事故につながる破壊を防ぐためだけではなく,定期検査を行い損傷が小さいうちに補修をすることで,トータルの維持費を低減させる予防保全というやり方が提唱されて久しいが,こと床版に関しては,金銭的、時間的コストがかかるという理由で,ほとんど行われていないのが現状である。そこで,理研独自開発の車輌搭載型中性子源RANS-IIIを用いて,全国の橋梁の非破壊検査を行うことを目標としている。 本研究課題ではコンクリート内部欠陥の3次元イメージングシステムの構築を行った。異なるエネルギー帯域の中性子の2次元イメージを取得し、それらの収量比を求めることで深さ方向の情報が得られる事をシミュレーションにより確認した。また、実装するため2種類の中性子イメージング検出器の開発も行った。 今回開発した技術は鉄筋コンクリートの床版だけでなく,コンクリートの構造物全般に適用可能である。開発中のRANS-IIIと組み合わせることで,様々な橋梁での非破壊劣化診断が可能になると期待できる。計測システム全てがトラックに搭載可能となることで橋梁、トンネルをはじめ、様々なインフラ構造物の定期診断が容易になり,コンクリート劣化の初期段階で補修ができれば,インフラ維持の低コスト化や長寿命化に寄与できると期待できる。
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