2021 Fiscal Year Research-status Report
ひずみ速度制御型の高効率な修正ワイブル応力同定試験の開発と溶接部への適用
Project/Area Number |
20K04660
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田村 洋 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (10636434)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 地震時脆性破壊 / 修正ワイブル応力 / 累積破壊確率 / シャルピー衝撃試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,修正ワイブル応力同定試験の開発への第一歩として,令和2年度に続きシャルピー衝撃試験で見られる脆性破壊に対する修正ワイブルアプローチの適用性を確認した.令和2年度はシャルピー衝撃試験時の試験体の応力状態を再現するための解析方法を確立するとともに,修正ワイブルアプローチによる脆性破壊発生限界の解析的評価結果を,文献で報告されている同種材料の試験結果と比較し,定性的な一致を確認したが,令和3年度は,3種類の供試鋼(鋼種はそれぞれSS400, SM570Q, SM490YB)を対象としてシャルピー衝撃試験を実施し,脆性破面率および吸収エネルギーに関して修正ワイブルアプローチによる推定値と実測値の比較を行った. その結果,SM570QのSM490YBの供試鋼に関しては,低温側から延性-脆性遷移温度付近にかけて脆性破面率および吸収エネルギーが温度と共に上昇する特性の推定値が実測値と定量的によく一致した.SS400の供試鋼に関しては延性-脆性遷移温度の推定値が実際より高くなったが,脆性破面率および吸収エネルギーの低温側における下限値は定量的に一致した.延性-脆性遷移温度の推定値が実際より高くなった理由としては,高ひずみ速度下で仮定した応力-ひずみ曲線の上降伏点から下降伏点にかけての形状が実際と異なっていた影響が考えられ,今後検証したいと考えている. これらのことから,修正ワイブル応力アプローチによりシャルピー衝撃試験時の構造用鋼材(母材)の脆性的破壊挙動が概ね再現できることが実証できたといえる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度には新型コロナウイルス感染拡大の影響で当初計画していたシャルピー衝撃試験を実施を見送ることとなった.令和3年度には実施することができたが,令和2年度の遅れの影響が残っており,当初の計画より研究の進捗がやや遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の検討から,修正ワイブル応力アプローチによりシャルピー衝撃試験時の構造用鋼材(母材)の脆性的破壊挙動が概ね再現できることが実証できた.令和4年度は修正ワイブル応力アプローチを活用しまずはシミュレーションベースでひずみ速度制御型の高効率な修正ワイブル応力同定試験を開発していく.具体的には修正ワイブル応力アプローチに必要なパラメータを再同定するために必要な試験条件を明らかにし,実証実験も行いたいと考えている.そして,複雑な残留応力場と材料特性分布を呈する溶接部をいくつかの領域に区分して,各領域に対して高効率な修正ワイブル応力同定試験を実施することで,溶接部に対する修正ワイブル応力アプローチの適用を試みたいと考えている.
|
Causes of Carryover |
令和2年度以降,当初計画を変更しながら研究を遂行しているため,若干の残額が生じた.この残額は令和4年度に実施予定の実験の消耗品の購入に充てたいと考えている.
|