2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of the development of a vibration reduction foundation system that enhances business continuity in developing countries in ASEAN
Project/Area Number |
20K04670
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
山岸 邦彰 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (70553189)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 球状砂 / ゴムシート / 石材 / 動摩擦係数 / 粒度分布 / 圧縮強度 / 転がり摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、球状骨材と石材の間の動摩擦係数およびその他の機械的性質の把握、を主に実施した。球状骨材の形状が想定していたものよりも真球度が低く、動摩擦係数の個体差が有意に表れた。個体差の大きさは今後の設計に悪影響を及ぼすため、球状砂を挟む摺動体の1つを石材、1つをゴムシートとする試験体を作成した結果、安定した動摩擦係数を得ることができた。また、ゴム厚や球状砂の径を変更することにより動摩擦係数がパラメトリックに変化することも分かり、ゴム材を用いた機構が有意であることが分かった。このため、当初予定していた球状砂の中に球状を呈さない粒子を混入する計画を一時的に中止し、弾性材料の仕様と球状砂の径を変更することにより、動摩擦係数を変化させることに注目して研究を行う。ただし、ゴムシートの利用により、スティックスリップ現象や、静止摩擦と動摩擦の区別がつきにくい現象が生じており、これらの発生原因を現在探っているところである。 他にも、圧縮試験により粒径と圧縮強度の関係、SALDを用いた球状砂の粒度分布、を明らかにした。これらにより、球状砂の粒径が大きくなると断面積当たりの許容荷重が減少すること、球状砂の粒度分布はJISふるいの目開きに応じてほぼ均一に分布していること、などが明らかとなった。これらの結果は、本機構のモデル化や設計に際して重要な情報であり、今後の研究に使用する予定である。 以上の結果を、日本建築学会大会論文に4編の連報として3月までにまとめ、2021年9月に発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年4月から7月までは、新型コロナウィルスによる活動自粛のため、実験を行うことができなかった。そのため、8月から実験を実施した関係で、当初10月までに実験を終了する予定のものが、1月まで順延した。しかし、研究実績の概要において述べたように、当初予定していなかったゴムシートの導入により、研究の方向性が定まったことを受けて、その後の実験は比較的順調に進めることができた。また、ゴムシートの使用により、当初準備していなかった備品、消耗品を急遽準備する必要があり、また、得られた実験結果に対して現時点では説明できない事象が見られたため、実験装置や方法の不備を克服する必要がある。そのため、得られた結果をJournalや論文としてまとめることができていない。しかし、Journalや論文を発表するための基礎資料を得ることはできたと考えている。 以上述べた結果は、2020年度の主な研究活動の結果であるが、その他の実験は予定通り実施することができたため、本設問にある「区分」では「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定通り2021年度は、温湿度の変化や経年劣化を受けた摩擦材料の機械的性質を把握するための実験を主として実施する。また、ゴムシートの使用により高軸力下における機械的性質を明らかにすることが課題となったため、高軸力下における摺動実験を合わせて実施することとする。 本研究課題は高温多湿かつ多雨となる熱帯地域のASEAN諸国において、安価に耐震構造を導入できる機構を考案することが目的である。そのため、高温、特に高湿化における本機構の特性を把握することが重要である。また、ゴムシートの使用により温度依存性のあるゴムの特性も重要になる。現在の研究環境においては、加振実験の行える高温高湿槽がないため、当初予定している本課題の予算を使用させていただき、高温高湿槽を購入する予定である。5月に納入業者と打ち合わせを実施して、機器を決定した。 また,経年劣化については、現在の研究下において促進試験を実施できる環境がないため、紫外線促進試験を外注して行うことを予定している。 また、高軸力下における摺動実験は、当初研究予定にはなかったものである。2020年度の研究により、低い軸力においては実験が成功しているが、高軸力下においてはゴムの変形が顕著になり、当初予定していた摺動機構とは異なる挙動を示すものと考えられる。現在は、高軸力下における摺動実験の治具設計と、高軸力を受けた球状砂の予備実験を行っているところである。 以上より、新型コロナウィルスの蔓延状況に左右される可能性はあるが、現時点では2021年度もほぼ当初の予定通り進捗できるものと考えている。
|
Causes of Carryover |
2020年度の消化高は約250千円であり、当初予定の400千円から約150千円の未消化が生じた。これは、新型コロナウィルスによる学会等の出張旅費や、球状砂のメーカーとの打ち合わせが不可能となったことが主要因である。本来であれば当初の旅費等は230千円を想定していたが、研究実績の概要のところでも述べた通り、摺動機構の変更を行った結果、ゴムシートの購入、およびゴムの加工に必要な治具類の購入等に充てた結果、約80千円の追加費用が生じたため、約150千円の残額となった。 この約150千円は、研究実績の概要のところで述べたように、高軸力下における摺動実験の治具製作費用に全額充てる予定としている。本実験は、すでに所有している20kNアクチュエーターの先端にアタッチメントを装着する必要がある。このアタッチメントは特注となるため、設計費用や製作費など、相当の費用が発生する予定である。2021年度も新型コロナウィルスのまん延防止のため、諸々の学会等の発表がオンラインになる可能性がある。2021年度に想定している出張旅費の残額と合わせて、アタッチメントの製作費に充てることを想定している。
|