2021 Fiscal Year Research-status Report
Study of the development of a vibration reduction foundation system that enhances business continuity in developing countries in ASEAN
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20K04670
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
山岸 邦彰 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (70553189)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 震動低減基礎 / 面圧 / 球状砂 / 摺動速度 / 高温高湿槽 / 風圧力 / パイルキャップ / 強風対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はASEANお熱帯雨林気候下における震動低減基礎構法の機械的特性を把握するために、高温高湿槽とアクチュエータを組み合わせた実験装置を作成し、様々な環境パラメータに対する摺動試験を実施する予定であった。しかし、半導体の納期の遅れなどが影響して、高温高湿槽の納品が2022年1月となり、2021年度中の実験実施は困難となった。 ただし、これに代わり、高速加振下における摺動試験を行った。これまで、摩擦力測定装置(IMADA; MH2-500N)用いて摺動面の摩擦係数を測定していた。しかし、本装置の加力速度は最大でも300 mm/sであり、実際の地震時の摺動速度と比べると顕著に低い。そこで、この摺動機構を設置した構造物を想定して、約1,000 kgの錘を積載した摺動体を構築して、最大で速度0.5 m/sの加振下における振動特性を把握した。この結果、最大加速度および最大変位については、面圧の増加とともに大きくなることを確認できた。面圧を大きくすると基礎サイズを小さくすることができるため有効であるが、応答は増える結果となるため、面圧には適度な大きさがあることが分かった。 一方、このような摺動機構に特化した研究を進めてきたが、実際にASEAN諸国に適用するためには、本機構を用いた設計手法を確立することが急務であることに気づいた。また、熱帯地域には顕著な風速を発生するハリケーンが出現し、設計を進める上でこのような強風に対する対策を講じる必要があることも分かった。これらのことから、基礎が滑動したことによる杭-パイルキャップの変形の把握と、強風時にシアピンが基礎に貫入され水平移動を抑制する機構の開発を別途実施した。 これらの結果を、2022年日本建築学会大会学術講演梗概集に4編掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述した通り、高温高湿槽の納品が大幅に遅れたため、高温高湿槽を用いた実験が2021年度中に実施することができなかった。また、高温高湿槽が2022年1月に納品された後に、当初設計していた実験治具を変更する必要が生じたたため、設計変更を行った。そのため、5月の時点においても実験はできていないが、6月には実験を行う予定である。 2021年度の主たる研究はこの実験であったが、納品までの間に時間が空いたため、他の研究を進めていた。詳細は前述による。
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Strategy for Future Research Activity |
高温高湿槽を用いた実験を6月から行う予定であるが、それと並行して、2022年度に実施予定であるノンエンジニアド建築を模擬した模型建物を構築して、振動実験を行う予定である。当初は、鉄筋コンクリート造のフレーム内にレンガ積みをあしらった、現地の建築物の縮小模型を製作する予定であったが、パラメータを変えて繰り返し実験を行うと廃材が多く発生するため、ここではブロック造の破壊を模擬した模型を製作して、治具を損傷させずに繰り返し破壊させることのできる模型建物の製作を行う予定である。 また、これまでの研究成果を踏まえて、摺動面を摩擦係数の発現のメカニズムを知る必要を生じた。これは、従来は花崗岩等、硬度の高い材質を摺動面とする開発を行ってきたが、実際の施工が困難であることと、高価であることからASEANで使用される可能性が低い。そこで、ASEANにおいて広く流布されている建築資材であるコンクリートを摺動面とする機構の開発の必要性を感じた。そこで、コンクリートと球状砂の組み合わせによる摩擦係数発現のメカニズムを把握する必要が生じた。 さらに、2021年度実施した風圧力に対する水平移動抑止対策にも取り組む。この問題の解決により、ほぼ実現に必要な技術的課題をクリアできると考えている。 2022年度は研究者を増員したため、これらの課題を並行して実施することが可能であると考える。
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Causes of Carryover |
基本的に予算分を消化する予定であったが、端数52円の残金を生じた。この残金を2022年度の予算に合計して使用する予定である。ただし、金額が少額であるため、基本的には当初予算の通り失効する予定である。
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Research Products
(4 results)