2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of slope disaster prevention technique by the small-diameter spiral pile for effective use of slopes
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20K04678
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
磯部 公一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (70452084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スパイラル杭 / 支持力 / 斜面 / 地すべり / 機械学習 / 危険度評価 / 対策工 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の太陽光発電設備の建設急増は、発電事業の成立性を確保のため、地盤条件が悪いながらも安価な土地で大規模に施工されるケースや、傾斜地上に建設されるケースなど、地盤や施工条件が悪い現場での施工事例を増やす結果となった。そのため、2014年の桐生市における土砂流出による太陽光発電設備設置斜面の崩壊事例を皮切りに、豪雨・強風被害が年々顕在化、甚大化している。 そこで本研究では、①現実的な条件下あるいは厳密な管理下における、小径スパイラル杭の複合荷重に対する支持力機構解明、②その支持力機構に立脚した斜面上構造物の支持と斜面安定工の複数機能を有する構造形式の開発、③機械学習による斜面災害危険箇所の回避方法の構築を目的に研究を実施した。 ①では、浸透力載荷・サクションコントロール管理対応型の模型杭載荷試験装置を作製し、回転貫入の影響を考慮した小径スパイラル杭の基本的な鉛直支持力特性を把握した。その結果、スパイラル杭のスパイラーの巻き数増加による貫入抵抗の減少、静的繰返し載荷時における通常のストレート杭とスパイラル杭との支持機構、特に周面摩擦力の発揮機構の違いなど、乾燥砂地盤における基本的な鉛直支持力特性を確認できた。 ③では、札幌市南区、北海道厚真町、安平町、むかわ町の地すべり、北海道胆振東部地震による地震地すべり、新潟県魚沼市の豪雨土砂災害などを対象に、広域危険度評価を行い、その予測精度を比較した。その結果、地すべりでは、標高、起伏量、接峰面差、地形区分、土壌区分、土地利用植生区分の影響度が高いこと、地震地すべりでは、標高、平面曲率、曲率、傾斜方向、地質の影響度が高いこと、豪雨による斜面崩壊では、標高、起伏量、接峰面差、土壌区分、地質区分の影響度が高いことがわかった。また、各種学習アルゴリズムのうち、バギング木とニューラルネットワークで最も予測精度が高い結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の各目的に対する進捗状況は以下のとおりである。 ①現実的な条件下あるいは厳密な管理下における、小径スパイラル杭の複合荷重に対する支持力機構解明では、新規に浸透力載荷・サクションコントロール管理対応型模型杭載荷試験装置を作製し、回転貫入の影響を考慮した小径スパイラル杭の基本的な鉛直支持力特性を把握した。これらの成果を、地盤工学会北海道支部技術報告会などで発表するとともに、今後実施予定の、各種地盤条件、実験条件に対応できる実験環境を整えることができた。 ③機械学習による斜面災害危険箇所の回避方法の構築では、予測精度の高い機械学習モデルの構築を行い、各種地盤災害に対する危険度予測手法の構築を行い、当初目的を達成した。今後、他地域への適用を広げ、地域性の有無を確認した上で、汎用性の高いモデルの構築に努める。 以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
①現実的な条件下あるいは厳密な管理下における、小径スパイラル杭の複合荷重に対する支持力機構解明では、浸透力載荷・サクションコントロール管理対応型模型杭載荷試験装置を用い、各種地盤条件、実験条件に対し、飽和,および不飽和地盤での相似縮尺模型実験を実施し,乾燥砂地盤で得られた結果と対比する。また、これらの実験結果を数値解析により再現し、実験では明らかにすることが難しい、地盤と杭との相互作用問題を明らかにする予定である。さらに、これらの成果と過去の研究成果に基づき、水平(H)、鉛直(V)、モーメント(M)空間に複合荷重に対する支持力曲面を再評価する。 ②その支持力機構に立脚した斜面上構造物の支持と斜面安定工の複数機能を有する構造形式の開発では、構造物を支持する斜面の降雨に対する安定性評価に関する模型実験、およびその再現解析を通じて、斜面上構造物の最適基礎構造を提案し、地下水位上昇時および降雨時の斜面安定性を従来のコンクリート直接基礎と比較する。数値解析には飽和・不飽和浸透流解析と剛塑性FEM(RPFEM)によるハイブリッド解析を用い、浸透による影響を考慮した杭の支持力解析により各種地盤、杭および載荷方向に対する支持力を算出する。また、斜面安定解析により降雨による地下水位上昇に伴う地盤のせん断抵抗の低下を考慮し、安全率の変化を求める。 ③機械学習による斜面災害危険箇所の回避方法の構築では、構築した各種地盤災害に対する危険度予測手法を、他地域の災害事例へと適用の範囲を広げ、地域性の有無を確認した上で、汎用性の高いモデルの構築に努める。
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Research Products
(2 results)