2021 Fiscal Year Research-status Report
変わりゆく気候や社会も見据えた積雪寒冷地に適したのり面保護工の開発と提案
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20K04679
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 貴之 北見工業大学, 工学部, 教授 (20310964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川尻 峻三 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80621680)
中村 大 北見工業大学, 工学部, 准教授 (90301978)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | のり面保護 / 緑化 / 浸透抑制 / 断熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もコロナ禍における各種制約がある中での研究であったが,屋内での散水模型試験を進めるとともに,屋外での実大実験まで実施することができた. 屋内模型土槽に対する散水実験では,中詰め材が異なる2層間に敷設する不織布の役割を明らかにするため,不織布の厚さ(目付)を変えた多くの実験を行った.その結果,上層の中詰め材として使用している砂質土が下層の砕石内に吸い出されることを防ぐために,不織布の設置は有効であるが,決して不織布が厚いほど効果が高まるのではないことが明らかとなり,経済性の面を考えても,現状一般的に使用している厚さ1mm程度の不織布で十分な効果が発揮されることが分かった.また,実施した実験条件では,この厚さの不織布を用いることで,散水量のおよそ2割程度しか,背後斜面に浸透しないことが明らかとなった. 屋外の実大斜面を利用した実験では,これまで検証してきた張芝ではなく,腐植酸種子散布による緑化方法についても検証するとともに,上下層の間に断熱材を設置することで,寒冷地で問題となる凍結融解による背後斜面の変形・侵食抑制についても検証した.その結果,初年度の緑化については,構築直後から続いた高温・乾燥状態の間は緑化が進まなかったが,降雨後は順調に繁茂し,層間にある断熱材の影響も特に見られないことが明らかとなった.また,断熱材については厚さを変えることによって適切に背後斜面の温度低下が抑制されていることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先述のように,屋内での散水試験,屋外での実大実験ともに,概ね予定通り実施することができ,期待していた結果についても概ね得られることが見込まれるため.
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Strategy for Future Research Activity |
屋内の散水実験については,概ね予定していたケースは終わっているが,緑化を希望しない場合の適用方法に関して,上下層ともに砕石(層間には不織布あり)のケースや,断熱材を設置した場合についても実施したいと考えている. 屋外の実大実験については,計測した温度履歴を用いて,熱伝導解析を実施し,のり面保護工全体としての断熱性能を明らかにし,対象地域に応じた断熱材厚の設計ができるようにしたと考えている.また,最終年度であるため,これまでの成果をまとめ,本保護工の選定フローを構築したいと考えている.
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