2020 Fiscal Year Research-status Report
凍結融解による不凍水量のヒステリシスを考慮した土の熱-水-応力連成モデルの開発
Project/Area Number |
20K04681
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
陳 剣 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特任助教 (30556668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 光隆 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (50196755)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水遷移 / 熱伝導 / 凍土造成 / 連成解析 / 潜熱効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、凍結にともなう土中の水・熱移動特性を測定するための一次元カラム凍結室内実験とトンネル防護壁の凍土造成予測を行なった。 ①室内実験:室内実験では、初期質量含水率20%のシルト質粘土と12%の細砂を用いて、底部給水あり(開放型)と給水なし(密閉型)、頂部凍結の一次元凍結条件下で、土中温度、含水比、凍上量の変化を明らかにすることを目的に、一次元カラム凍結実験を行った。用いた粘土と細砂の試料を5層に分けて、乾燥密度1.64g/cm3で、直径および高さともに10cmのアクリル円筒カラムに詰めた。土カラムの1、3、5、7、9cm深にカラム壁面から熱電対を挿入し、熱電対により凍結期間中の土中温度を測定すると共に、頂部円盤上面の上方への変位量を、変位計によって測定した。また、所定の時間凍結した後、供試体を取り出し、それぞれ2cmごとに切断して各々の含水比を測定した。 ②凍土造成予測:本研究では、開発された連成解析モデルの有用性を検証するため、人工凍結工法が実施される現場の数値解析を行うとともに、実際の地盤挙動や材料特性を把握するため、現場計測データを収集し、得られた計測値と解析値を比較することにより、同モデルの合理性を検証することを目指している。本年度は、シールドトンネル近傍で凍土造成中の土中温度計測データを収集し、本研究における凍土造成予測解析値と比較することによりモデルの有用性を確認した。具体的には、二次元的にモデルの妥当性を確認した後、三次元的に凍土造成予測を行い、凍土壁造成過程の明確化を図ることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、熱伝導・水遷移・地盤変形の連成現象を解明するための一次元カラム凍結室内実験および人工凍結工の現場計測を、当初の計画通りに開始することができた。得られた室内実験データおよび現場計測データに基づき、開発された連成解析モデルを用いて、解析結果と計測データを比較し、連成モデルの有用性を検証した。試験結果および解析結果については、学会講演集や学術論文で公表している。 一次元カラム凍結の室内実験結果については、温度分布は上面から下方に連続的に低下し、凍結計測時間後の含水比測定結果では、未凍土中の水分が凍結前線へ遷移することを観測した。また、給水なしの場合、粘土の凍上量は細砂よりおおよそ2.5倍に対し、給水ありの場合は、細砂より粘土の凍上量は10倍大きくなることが観測された。 現場凍結工法における凍土造成予測結果については、凍土造成工程後期では、潜熱効果が顕熱効果より大きな影響を及ぼすため、凍結潜熱を調整することで、実測値と解析値の整合性が確認された。 以上のように、当初の計画通り、概ね順調に進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度の成果を踏まえ、得られた室内試験および現場計測データを引き続き分析し、パラメータスタディを行うことにより、解析結果に影響を与える主要パラメータを抽出し、連成解析モデルのさらなる改良を試み、計測データとの比較を通じて適合性を検証していく。
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Causes of Carryover |
当初計画の国際学会の出張が、新型コロナウイルス感染症の影響で学会中止となったため、旅費が支出できずに繰越金が発生した。
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Research Products
(4 results)