2021 Fiscal Year Research-status Report
東京東部低地における液状化等による防潮施設の被害予測
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20K04682
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹山 智英 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00452011)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 機械学習 / 過圧密比 / 地震応答解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,東京東部低地の地震応答・液状化シミュレーションを行い,防潮施設や治水施設に与える被害の程度を評価することを目的としている.そのシミュレーションを実施するためにボーリング調査結果等を利用して三次元地盤モデルを作成し,地震計測結果を用いてその精度を継続的に向上させることができる手法の構築を行う.ボーリング調査には主に標準貫入試験結果としてのN値が含まれる.N値からは強度や剛性に関係するパラメータを推定することができるが,その地盤が経験してきた応力履歴を表すパラメータである先行上載圧(過去その地盤が受けた最大の上載荷重)または過圧密比(現在の上載荷重に対する先行上載圧の比)はN値とは相関性がないため推定することができない.したがって,本研究では,過圧密比を過去の地震計測結果とシミュレーションを基に機械学習によって推定することを考えている.令和2年度において,N値を固定して過圧密比以外のパラメータを推定し,過圧密比の深度分布を様々に変えた仮想的な地盤に対して地震応答解析を実施し,基盤への入力加速度および地表面加速度の時刻歴を入力とし,過圧密比の深度分布を出力とするニューラルネットワークを多数の地震応答解析結果を教師データとして,学習させることにより,精度よく過圧密比の深度分布推定を行うことができることを確認した.令和3年度においては,N値を変化させた場合も同様の推定が可能であることを確認した.また,広域の地震応答解析を行うために解析コードをGPU(Graphic processing units)を用いて並列化した.コード並列化の際,保守・拡張が容易にできるように可読性を重視し,新しいデータ構造について提案をし,実装を行った.これにより4万要素を用いて液状化解析を行い,CPUのみの計算に比べて約7倍の速度向上が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度の研究実施計画については,単一のGPUによる地震応答解析コードの並列化が完了している.さらに大規模な計算を行うためにはマルチGPUによる並列化を行う必要があるが,ほぼ達成している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度において広域の地震応答解析を行うために解析コードのGPUによる並列化を行ったが,さらに大きな問題を扱うために複数のグラフィックボードを用いて,マルチGPUによる並列計算が可能となるようにコードの並列化を行う必要がある.また構築した三次元地盤モデルおよび開発するGPU並列化されたプログラムを用いて地震応答解析を行い,計測結果,調査結果とシミュレーション結果を比較することにより,構築した三次元地盤モデルの妥当性を検証する.令和4年度は,東京東部低地を対象として内閣府によって公表されている首都直下地震の地震波を入力とした地震応答計算,その後の圧密沈下計算を行い,液状化の有無,地震時の地盤内部の変形や地震後に生ずる沈下量から東京臨海部に設置された防潮施設の被災の可能性を補油化し,現在進められている防潮施設の耐震対策の有効性について検討する.
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Causes of Carryover |
地震応答解析コードのマルチGPU並列化は,令和3年度に行う計画であったが,単にGPU並列化を行うのではなく,コードの保守・拡張が容易となるように可読性を重視したデータ構造を提案し,オブジェクト指向型のGPU並列化を行ったため,マルチGPUによる並列化まで至らなかった.また,グラフィックボードをワークステーションに増設するために1カ月程度,ワークステーションが使用できない可能性があるので,前年度は増設を行わなかった.令和4年度の早い時期に当該の備品を購入する.
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Research Products
(11 results)