2020 Fiscal Year Research-status Report
地盤材料として破砕コンクリートを活用するための再生化方法の確立
| Project/Area Number |
20K04688
|
|---|
| Research Institution | Chuo University |
|---|
Principal Investigator |
平川 大貴 中央大学, 理工学部, 教授 (40372990)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 破砕コンクリート / 再生地盤材料 / 再生化方法 / 六価クロム / 通水洗浄 / 物理化学的特性 / 強度変形特性 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、コンクリート塊(以下、破砕コンクリートと表記)を盛土材として用いるための再生化方法を検討するものである。破砕コンクリートは最も排出量の多い建設副産物であるが，現状では再生路盤材としての用途が主流で，盛土材(地盤材料)としての活用はほとんどなされていない。この主たる理由は，締固め特性や強度変形特性が不明瞭であることに加え、六価クロムCr(VI)の溶出が懸念されることにある。建設リサイクルの体制を保持するためには新たな活用方法を見出す必要があり、本課題では土構造物の構成材料としての広く活用することを目指している。その方法として、本課題では再生化の過程で通水洗浄の工程を加えることで実用上問題ないレベルまでCr(VI)を取り除けること、破砕コンクリート粒子は安定的で締め固めた破砕コンクリートの強度は盛土材に要求される条件を十分にクリアしていること、を明らかにすることを学術的・工学的な目的と設定している。
初年度(2020年度)では、市販の破砕コンクリート1種類について検討した。その結果、通水洗浄によって環境基準値以下にまでCr(VI)を取り除けることが確認できた。用いた破砕コンクリートは、そのままでは環境基準値を若干上回るCr(VI)の溶出があるが、計3回・質量比で40%の通水を行うことで環境基準値以下にまで抑制できた。洗浄効果は、砂分以下の粒径(環境庁告示第46号法の対象)だけでなく、粗粒材でも得られている。粗粒材は粉砕して砂分以下の粒径にして、洗浄効果があることを確認している。また、通水洗浄の前後で破砕コンクリートの締固め特性や強度変形特性は変化せず、強度値も設計用値を十分に満たした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時では市販の破砕コンクリートを毎年2試料ずつ、研究期間3カ年で計6試料について検討し、効果的にCr(VI)を洗い流すための通水の条件、洗浄後の破砕コンクリートは天然の礫質土と同様の強度値を持ち、かつ天然材料と同様な方法で盛土構築の施工管理ができることを示す研究計画であった。初年度(2020年度)においては、2度の緊急事態宣言の影響により1試料のみの検討にとどまった。
しかしながら，2020年度においては1試料に対して詳細な検討をしており、有益な知見は得ている。したがって、現状での遅延は「研究実績の概要」に記載した本課題の目的には大きな影響を与えないものと考えている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
研究期間3カ年で計6試料(2試料/年)について検討する当初計画に対して、研究初年度(2020年度)では2度の緊急事態宣言の影響により1試料のみの検討にとどまった。
以降の試料に対する実験準備を急いでいけば研究期間内で初年度の遅れを取り戻すように研究計画を再考している。2種類目の材料の準備は2020年度内に概ね出来ており、2年次(2021年度)において急ピッチで実験を進めている。初年度(2020年度)での実験の遅れは，2年次(2021年度)内には解消したい。
|
| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究初年度(2020年度)での2度の緊急事態宣言の影響による。国内旅費2回と運搬費が未使用になったこと、2試料/年での当初計画に対して研究初年度(2020年度)では1試料のみの検討にとどまったこと、という理由のためである。
修正使用計画としては、2試料目で予定していた化学分析委託費を2021年度に変更して執行することが挙げられる。また、2年次(2021年度)においても、学会発表会のオンライン化によって国内旅費は当初計画の通りには執行できない。これより、2020年度および2021年度に予定していた国内旅費については、化学分析あるいは室内変形強度試験の追加での執行を検討したい。
|
