2021 Fiscal Year Research-status Report
環礁州島海岸での海岸植生による砂浜安定化の研究および持続可能な海岸保全策の提案
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20K04700
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
横木 裕宗 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (70240190)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全球海岸線 / wave setup / 海面上昇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は大きく,環礁州島海岸における(1)海岸植生による砂浜安定化効果の解明とその設計方法の提案と,(2)持続可能な海岸保全対策の提案である.前者は後者を達成するための重要な要素研究であり,環礁州島海岸の持続可能な保全策として不可欠な要素である.そして他の研究プロジェクトの成果と統合して,後者の技術オプションを提案する. 2021年度も,コロナ禍で現地調査を行うことができなかったので,海岸に作用する外力として,海面上昇および波浪に伴う水位上昇に関する考察を行った. 海水の熱膨張や氷河の融解等の他に海面上昇への影響を与える要因の一つとして砕波によるwave setupがある.波が沿岸に近づくと,浅水変形をしながら波高が増大してやがて砕波が起こる.砕波点を境に波高が減少することによって,砕波が生じた場所より岸側の海域では平均水位が上昇する.将来の海面上昇をより正確に求めるためには,wave setupによる海面水位上昇量を考慮することが必要である.そこで海底勾配を考慮したより一般的な砕波指標を用いてwave setupによる海面水位上昇量を求めた.また,海面上昇によって水深が増加することがwave setupにどう影響するかも考察した. 2021年度は,wave setupに影響を及ぼす要因として海底勾配が考えられるので,複数の解像度の海底地形データを用いてwave setupの変化に及ぼす影響を考察した.その結果,解像度を変化させることで海底勾配は変化するものの,wave setupは変化しないことがわかった.これは波浪(波高,周期)の影響が大きく効いているからと考えられる.また,海面上昇の影響は見られないことがわかった.これは,wave setupの推定式からの考察によって明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で,環礁州島海岸線の特性を調査することができていない.しかし,海岸線に及ぼす波浪外力について深く考察することができた.2021年度までに得られた情報をもとに,2022年度以降の研究成果が充実するものと期待される.2022年度は,現地調査の可能性を追求するものの,リモートセンシングデータを最大限活用し,海水位変動・波浪変化が環礁州島の海岸線に及ぼす影響について検討を行う.海岸特性に関する情報を可能な限り入手し,海岸線性状別の波浪影響,海岸侵食特性,それらの相互作用などの考察を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
現状のコロナ感染対策の状況を鑑み, 2022年度には現地調査が実現するとして,調査の準備を進める.また並行して,リモートセンシングデータによる解析も引き続き進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症対策のため現地調査を行うことができなかったことにより未使用額が生じた.次年度以降に改めて現地調査に使用するとともに,合わせて,データ解析や数値計算を高速で行うため,計算環境の整備にも使用する計画である.
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