2020 Fiscal Year Research-status Report
沿岸部都市河川流域における複合水災害モデルの構築と浸水リスクの多角的評価
Project/Area Number |
20K04702
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋尾 欣弘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (00573560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 健司 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (20422321)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 河川洪水 / 内水氾濫 / 高潮 / 複合水災害 / リスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、洪水や高潮などの水災害リスクを抱える帷子川下流の沿岸都市部を対象に、さまざまな要因による水害ハザードを多角的に評価することを目的としている。洪水や高潮発生時には、上昇した河川水位によって下水道網を通じた雨水排水能力が抑制されるため、都市部における浸水リスクは高まる。そのため河川と下水道の相互干渉を考慮可能な氾濫モデルが必要となる。今年度は、複合的氾濫事象を一体的に解析可能な都市浸水解析モデルと、高潮モデルの構築に取り組んだ。 都市浸水解析モデルは、構成する各要素モデルに必要な基礎情報について横浜市の協力を得て入手した。河道モデルでは河道断面形状を整理して、河道断面の水深と、流積・河口幅・潤辺・径深の関係をテーブル化して一次元河道モデルを構築した。下水道モデルでは、管径、延長等の下水道網の情報からリンクとノードからなる管路ネットワークモデルを構築した。そして標高値、地表面粗度係数などの基礎情報からなる二次元氾濫モデルを構築し、河道と下水道モデルと結合した。なお入手した下水道網が流域全体をカバーしていたことから、流域を分割せずに河川流出も都市浸水解析モデルにより計算することとした。 高潮モデルでは非線形長波式を基礎方程式として、風による水平せん断応力項や波によるラディエーション応力項、気圧による圧力勾配項から、高潮を予測する。台風の様々な経路による影響をみるため、まず東京湾全域を解析対象とて潮位偏差の分布を計算し、入れ子構造に帷子川河口近傍の潮位偏差を解析するモデルを構築した。また海底地形の解像度やネスティングによる影響も検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画について、複合的な氾濫事象を解く都市浸水解析モデルでは、帷子川流域を対象に河川・下水道・氾濫の各要素モデルに必要な基礎データの収集・整理を行い、それらを結合してモデルを構築した。同じく高潮モデルについても、東京湾から帷子川河口部において潮位偏差を予測可能なモデルが構築されている。当初計画通りに陸域と沿岸部におけるモデル化はそれぞれ進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
疑似温暖化手法による台風巨大化実験を行い、将来気候下における様々な気象条件を作成するとともに、初年度に構築したモデルに気象外力として与えることで陸域と海域それぞれにおけるハザードの解析へと進める。氾濫解析では計算領域や解像度を変えて計算を試行しながら、様々な気象条件に伴う氾濫解析の効率化も検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、研究打ち合わせや学会発表等にかかる旅費と、研究補助に伴う謝金がかからなかったため。次年度以降は社会情勢をみながら当初研究目的が達成されるよう柔軟に対応する予定である。
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