2021 Fiscal Year Research-status Report
Undisturbed Flowを基盤とする流体力の巨視的評価の高精度化
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20K04703
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
横嶋 哲 静岡大学, 工学部, 准教授 (80432194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キャノピー流れ / 抗力モデル / undisturbed flow / 計算流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度はundisturbed flowを考慮することが巨視的抗力モデルの精度向上につながるかどうかを具体的に検討した。すなわち、研究代表者らが長年に渡って検討対象としてきた、円柱群(樹木群模型)を過ぎる直線開水路流れ(室内水理実験結果も存在)を対象として、(i)代表速度に断面平均流速U_b(i.e., どの円柱の影響も受けない流速)を用いて得られる抗力係数Cd(グローバルCdと呼称)、(ii)代表速度に接近流速u_a(disturbed flow fieldから得られる、undisturbed flowの推定値の一種)を用いて得られるCd(ローカルCdと呼称)、(iii)R2年度に算出したundisturbed flow u_unを用いて得られるCd(undisturbed Cdと呼称)、の3種類の抗力係数を用いた巨視的数値予測を実施し、以下の知見を得た:[1]Undisturbed flowを考慮した抗力係数を用いることで、確かに巨視的抗力モデルの精度向上につながることを確認した; [2]流れの非平衡性が強い領域では(i)(ii)(iii)のいずれの抗力係数を用いても流れの再現性に課題が認められた。これは抗力モデルの表現形式そのものの限界を露呈したものを推察される;[3]Undisturbed flowの算出には莫大な負荷を伴うものの、その簡易推定量と位置付けられる接近流速u_aに一定の有用性が認められた。 今後の課題としては、接近流速u_aの定義の一般化、抗力モデル解析の空間解像度の影響の理解、3次元解析の実施、が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Undisturbed flowを考慮することが巨視的抗力モデルの精度向上につながることを具体的に示せた。また、抗力モデルのモデル表現自体が流れの非平衡性が強い領域では成立しないことを示唆する結果も得た。さらには、undisturbed flowの簡易推定法構築の手がかりとして、接近流速u_aの有用性も示せた。これらは抗力モデルのさらなる発展を目指す上で非常に有用である。
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Strategy for Future Research Activity |
R3年度の研究によって、接近流速u_aがundisturbed flowの簡易推定値として一定の有用性を示したものの、障害物が規則性なく点在するような場合にはu_aは評価できないため、定義の一般化が必要である。この点に関しては、例えば機械学習の導入可能性なども検討したい。また、R3年度に行った抗力モデル解析では、議論をなるべく単純化するために、計算格子サイズを障害物(ここでは円柱)サイズと一致させたものの、実用的にはより粗い計算格子が用いられる。よって空間解像度を系統的に変化させた抗力モデル解析を実施し、結果に与える影響を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響が想定よりも長引き、予定していた出張のほとんどがオンライン実施となったため。次年度の計算プログラムの高速化の費用に充てることで、本研究計画のより良い遂行に努める。
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Research Products
(3 results)