2023 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス物質を活用した新たな樹林化評価手法確立のための基礎調査
Project/Area Number |
20K04714
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Research Institution | Research and Development Center, Nippon Koei Co., Ltd. |
Principal Investigator |
今村 史子 日本工営株式会社中央研究所, 先端研究センター, 専門部長 (50568459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅枝 隆 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (40134332)
SETHI SIDDHANT 日本工営株式会社中央研究所, 先端研究センター, 研究員 (90898959) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 河川植生 / 過酸化水素 / 環境ストレス / 土壌水分 / 生育地指標 / 河川管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川植生を構成する植物種の多くは、洪水等で分散された種子が漂着した場所で、環境条件が適していれば定着する。条件が適していない場合、ストレスが過大となり枯死する。環境条件とストレス要因を関連づけることは、河川植生の分布把握のための重要なプロセスである。ストレス要因に晒される、細胞内で活性酸素(ROS)が生成、組織等が破壊される。研究では、活性酸素種(ROS)のうち最も安定して計測ができる過酸化水素(H2O2)について、葉の中の含有用量を調べることで環境ストレスを定量化できることを確認した。 本研究では、木本類ではSalix spp.、Robinia pseudoacacia、Ailanthus altissima、Juglans mandshurica、草本類は、Phragmites australis、Phragmites japonica、Miscanthus sacchariflorusを対象とした。現場で観察された植物標高分布との比較から、葉組織と土壌をサンプリングし、H2O2濃度、全窒素(TN)、全リン(TP)、および水分含有量を分析した。Salix spp.以外の木本類のH2O2濃度は土壌水分含有量の増加とともに増加したが、Salix spp.のH2O2濃度は土壌水分の増加とともに減少した。草本種のH2O2濃度は土壌水分とともに常に減少した。これらの関係と現場で観察した植生分布と、比高から推定した土壌水分の状況の比較から、河川での植生の空間分布と合致していることが示された。本研究は、葉のH2O2濃度が河畔植生の分布ポテンシャルの有用な指標になり得ることが示唆された。
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