2020 Fiscal Year Research-status Report
多点観測型緑地評価指標を用いた広域CO2濃度変動評価技術の構築
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20K04716
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
桑原 祐史 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 教授 (80272110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 昌史 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (60362084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DOAS / 土地被覆 / 簡易センサ / ドローン / CO2センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は、①DOAS法を用いた近傍土地利用毎の計測精度の検証、②新たなセンサを用いた計測センサの多様化に向けた検討 の2点である。 ①DOAS法を用いた近傍土地利用毎の計測精度の検証:DOAS法では、近赤外光を射出し、一定パス内を伝搬させ、リフレクタにより反射してきた反射光を望遠鏡で捉え、特定周波数の減衰レベルからパス間のCO2濃度を推定する。本研究では、霞ケ浦(北浦)の湖において、CO2の吸収効果を定量化することを考えて行くが、それに先立ち、パス近傍の土地被覆の違いや計測向きによる影響がどのようなものなのか、という点を明らかにすることを試みた。茨城大学日立キャンパスでは、コンクリート表面のパスと、植生が主となるパスを容易に設定することができる。本年度は、東ー西、西ー東それぞれの向きの計測パスを設定し、被覆との関係を考察した。また、空間内のCO2濃度の精度を議論するために、定点設置のセンサやドローンに搭載したセンサによるCO2濃度との比較を行った。検討の結果、パス近傍の土地被覆に応じた計測結果が得られることが確認され、また、計測向きの影響は太陽光を直接受ける向きを避ければ大きな問題が生じない事が確認された。②計測センタの多様化に向けた検討では、今後、CO2センサに加えて、照度計や風向風速計を一体化させた安価なシステムが求められる。この点についてラズべリパイを用いた検討を進め、極端な気候(低温)を示す包頭市で正常に稼働することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としての一定の計測成果を得ることができた。コロナの影響により、実験実習の実施時期に制約があったため、実験装置の製作に関しては順延とした(一定時期、水圏環境フィールドステーションで作業をする必要があるが、密を避ける観点でも本年度は安全性の観点から順延とした)。成果面では、DOAS法による計測精度を明確にした点、安価なCO2濃度測定システムの構築に向けた基礎的な検討(ラズべリパイを用いた検討)に成果を得ることができた点である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2021年度)にワクチン接種等が進むことによりコロナの影響が低くなることも想定される。2020年度はフィールドにおける実験の実施が難しかったたため、実験の再開が可能となれば当初計画期間内に研究計画の達成を見込むことができる。状況によっては(密の回避が必要になる等)実験従事者数の削減や実施規模の縮小も視野に入れ、社会に貢献できる知見を得るよう工夫したい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、実地に出張して観測する実験計画の実施にリスクが伴うと判断した。このため、出張による実験内容と、実験時間を要する計画は縮小したため、助成基金の繰越額が発生した。次年度(2021年度)は、コロナ感染者の推移を十分に確認した上で出張を実施し、フィールドでの計測実験を再会するとともに、可能な範囲で実験室内の装置構築と改良を進めたい。また、取得データ転送のためのネットワーク化は、研究全体の省力化に繋がるだけでなく、密の回避にも繋がるため、積極的に進めたい。
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