2022 Fiscal Year Annual Research Report
Impacts of High-speed Rail Development on Regional Innovation
Project/Area Number |
20K04717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 浩徳 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70272359)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高速鉄道 / 地域イノベーション / 特許出願数 / ケーススタディ / 産業 / インフラシステム海外展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高速鉄道を対象とし,その整備が地域イノベーションに与える影響の有無とその因果効果を分析するとともに,その因果が生じるメカニズムを解明することにより,今後の我が国における新幹線整備ならびに新幹線技術の海外展開に向けて政策的示唆を得ることを目的とする. 今年度は,主に2つの実証分析を行った.1つ目は,特に産業特性を考慮して高速鉄道の地域イノベーションに与える影響を分析するものである.ここでは,日本の製造業に属する21中分類の産業を対象に,207ゾーン別に1976~2009年の期間における新幹線の新規導入が特許出願数に与えた影響を,差の差(DID)法を用いて分析した.その結果,ほとんどの製造業関連産業において統計的に有意な正の効果が見られた一方で,統計的な有意性が見出させない産業や統計的に有意に負の効果が見られた産業も見られた.2つ目は,高速鉄道の地域における異産業間の共同イノベーションに与える影響を分析するものである.この分析でも,1つ目の実証分析と同一の期間を対象に,日本の製造業に属する21中分類の産業について,高速鉄道導入が異産業間の共同特許出願数に与えた影響をDID法によって分析した.その結果,やはり高速鉄道の効果には産業間での異質性が確認された.いずれの実証分析でも,情報通信機械器具製造業において統計的に有意に負の効果が得られたので,関連する専門家に対してインタビューを実施し,その原因を特定するとともに,高速鉄道導入の効果の産業間での異質性が生じる原因について考察を行った.最後に,我が国の事例から得られた知見をもとに,インドで現在検討中の高速鉄道プロジェクトを対象に現地専門家のインタビューを実施し,途上国の高速鉄道整備への政策的示唆を検討した.
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