2022 Fiscal Year Research-status Report
単路部ボトルネック上流での自動運転車による身代わり減速波発生による渋滞抑制
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20K04728
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
葛西 誠 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20579792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沼 秀樹 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 准教授 (70709485)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 渋滞発生 / 単路部ボトルネック / サグ / 統計モデル / 追従挙動 / 反応遅れ / 減速波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は以下のように要約される。 1)高速道路単路部のどのサグがボトルネックとなりうるかを知るために、高速道路4路線首都圏近郊区間を対象に、車両感知器データおよび縦断線形データを用いて統計モデルを構築した。この際、渋滞するサグのみならず上下流のサグの縦断線形を説明変数として取り入れている点に新規性がある。このことは、現にボトルネックとなるサグの上流で減速波を意図的に生じさせて渋滞発生を抑制しようとする本施策において、減速波を生じさせるのに相応しいサグを選定するのに有用な情報となる。 2)阪神高速Zen traffic data(ZTD)を活用して、車両追従挙動における反応遅れが走行位置によって変化するのかを検証した。ZTDのうち阪神高速池田線上り延長2kmの朝ピーク1時間分のデータをもとに追従挙動データを整理し、これを2種類の追従挙動モデル(線形モデルおよび非線形モデル)にあてはめ、反応遅れ時間を1対の追従挙動ペアに対して1つ推定する。ただし、2kmの区間を500m毎に区分し、それぞれの区間に対して重みを付ける重み付き推定を行ない、区間毎の反応遅れ時間の分布形状を観察した。この結果、区間毎には反応遅れ時間は異なるものの、渋滞先頭地点付近での反応遅れが小さい傾向が確認された。これは一般に知られる渋滞先頭付近での反応遅れが長くなることとは異なる傾向であり、推定に使用する追従挙動モデルを取り替えても同様の傾向がみられるか検証が必要である。 以上の知見は、渋滞抑制の観点でボトルネック上流で減速波を意図的に発生させる際に、減速波発生の適切な位置をマクロ的およびミクロ的に検討するのに役に立つ内容と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行期に研究期間が重なったことにより交通流観測が極めて困難であったため、渋滞するサグおよび前後のサグでの車両挙動データが当初入手困難であったことが原因で遅延している。このため、渋滞発生抑制のための意図的減速波発生位置の検討に資する基本的な車両挙動の知見、例えば追従挙動における反応遅れの地点依存性が不明であることによる意図的減速波発生時の交通流シミュレーションに支障があった。 代替手段として阪神高速Zen traffic data(ZTD)を借用したことにより研究の遅延が解消してきつつある。ミクロ的知見として反応遅れの地点依存性を考慮した追従挙動モデルが部分的にではあるが構築されつつあり、またマクロ的な知見として渋滞するサグ、しないサグの見分けることができる統計モデルが構築されてきていることから、最終年度にミクロ的交通流シミュレーションを行ない現況再現性を確認する準備が整ってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも言及した通り、ミクロ的に地点依存性を考慮した交通流シミュレーションを実施する準備は部分的であるが整っている。シミュレーションによって生成された交通流が渋滞するサグ、しないサグを的確に再現するかの検証を行ない、さらに渋滞するサグの上流で意図的に減速波を発生させたときに効果的な渋滞抑制がなされるかを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定では自動車専用道路近傍上空からのUAVを用いた交通流観測に係る支出(旅費、動画像データからの車両位置座標時系列データへの変換に係る経費等)を想定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大のため延期となっていた。代替データとして、阪神高速Zen traffic data(ZTD)を借用しているものの、本年度はそれを補完する意味で自動車専用道路単路部の車両挙動データ取得を行う。また交通流シミュレーションに係る経費を想定する。
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