2022 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォンのセンサー性能限界を乗り越えて実現する自転車事故トリアージシステム
Project/Area Number |
20K04729
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
大賀 涼 科学警察研究所, 交通科学部, 室長 (50392262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
槇 徹雄 東京都市大学, 理工学部, 教授 (20465363)
中山 功一 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (50418498)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自転車 / 交通事故 / 事故自動通報システム / シミュレーション / 機械学習 / トリアージ |
Outline of Annual Research Achievements |
市販のスマートフォンは、各種センサーの性能やデータ処理の仕様がまとめられた資料が存在しない。これは昨今の電子製品は最低要件を満たせば、個々の部品の性能に関わらずに商品化が可能なためである。そのため本研究を遂行するためには、スマートフォンの機種ごとに性能などを把握する試験を独自に行う必要がある。 スマートフォンの加速度計のレンジを確認するため、昨年度は打撃試験装置を使用した。しかしながら、スマートフォンのサンプリング間隔である20 msに対して衝撃波形が鋭いため、正確なレンジの把握が困難であった。そこで60 ms以上の時間で安定して加速度を印加することを目的に、スレッド式の試験装置を作製した。 新たに作製したスレッド試験機では、長さ約2 mのレール上をスレッドが走行する形態とした。加速度はバネにより印加した。加速度はバネの本数を変えることで、制御できる構造とした。これによりスマートフォンに最大20 Gまでの加速度を印加できるようになった。 スマートフォンの各機種の加速度計のレンジを実測したところ、7.5 Gや15 Gであることが確認できた。同じ機種名でもハードウエアバージョンが異なると、加速度のレンジも異なることを確認した。 サンプリング間隔は、調査した機種では全て約20 msであった。ただし1台のスマートフォンでも約50 msで動作することもあり、バッテリー残量や発熱状況などに応じて自動的に記録機能を抑制している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スマートフォンの性能限界は販売元でも把握されておらず、その計測作業が追加されたため、計画の遅延が発生した。 そのため加速度計のレンジを確認するための計測装置を自作したものの、目的を達成するように3年にわたり改良を繰り返す必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
過去に行った交通事故再現実験を元にシミュレーションモデルを作成する。並行して交通事故再現実験を行い、実験データの積み増しを行う。 シミュレーションモデル作成後はパラメータスタディを行い、多様な事故形態・重傷度のデータセットを作成する。 このデータセットを学習データとして、トリアージアルゴリズムの機械学習を行う。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況がやや遅れの状況のため、研究期間を3カ年から4カ年に延長することとした。そのため次年度使用額が発生している。 新型感染症対策のために多数の人員が集合して行う交通事故再現実験の実施が制限されてきた。実験件数が不足しているため、引き続き実験を行う予定である。そのため自転車等の実験消耗品の取得を予定している。
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