2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04730
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
有村 幹治 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40548062)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 路面アセットマネジメント / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
膨大な生活道路を管理する市町村において,効果的な舗装メンテナンス・マネジメントを実現させるためには,まず定量的かつ網羅的な舗装点検を実施し,そのデータベースを活用することが重要となる.本年度は車載カメラと深層学習モデル(CNN:Convolutional Neural Network)を用いた舗装点検システムを開発し,室蘭市の管理道路815kmを対象とした点検を実現した.また既存の目視点検や路面性状調査との比較を行い,本システムによるひび割れ評価が十分な精度を有することを示した.次に,室蘭市管理道路の点検データを用いて,舗装劣化箇所のスクリーニングや舗装維持修繕のLCC推計を試み,これらの結果から,本システムおよび舗装点検の全数調査データの有効性を示した.また上記とあわせて,生活道路を対象として,近隣住民や修繕効率化を考慮した舗装劣化箇所の面的な抽出手法を構築した.具体的には,舗装点検や住宅立地のデータを用い,舗装ひび割れ率と住宅の空間分布に基づいて修繕対象の優先順位付けを試みた.まず舗装点検データを用いて,ひび割れ率が正の空間的自己相関を有することを明らかにした.そのうえで住宅近接性を考慮した修繕必要度を導入し,ひび割れ率の空間ラグとの関係から優先順位の診断基準を構築した.これを実道路に適用し,舗装劣化箇所がまとまっているエリアが優先的となり,近隣住宅の延床面積が大きいほど優先箇所が一体化することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
効果的な舗装メンテナンス・マネジメントを実現させるために,本年度は車載カメラと深層学習モデル(CNN:Convolutional Neural Network)を用いた舗装点検システムを開発し,室蘭市の管理道路815kmを対象とした点検を実現した.また既存の目視点検や路面性状調査との比較を行い,本システムによるひび割れ評価が十分な精度を有することを示した.次に,室蘭市管理道路の点検データを用いて,舗装劣化箇所のスクリーニングや舗装維持修繕のLCC推計を試み,これらの結果から,本システムおよび舗装点検の全数調査データの有効性を示すことができた.これにより道路修繕のアセットマネジメントを行ううえで重要となるデータインフラを整えることができた.今後は,予算制約下における最適道路修繕リンクの選定のための数理モデルの構築を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
対象地域における現在・将来の街区単位の交通量を推計する手法を開発する.デジタル道路地図データベース及び都市計画基礎調査、国勢調査、町丁目人口等、一般的に入手可能なデータを用いて、既存の4段階推定手法に交通需要推計手法やネットワーク分析手法を適用することにより都市計画道路レベルで推計された配分交通量をミクロな生活道路単位の交通量に変換する手法を開発する.また構築済の生活道路を含む舗装劣化データベースと生活道路単位の交通量に基づいて、各道路リンクの劣化状況と将来交通量に基づいた補修スケジュール最適化モデルを構築する.道路の最適な補修スケジュールの決定については、トータルコスト最小化、利用者便益最大化等、複数のアプローチが存在する.本研究では複数の目的関数に対応可能、かつNP困難な問題に対する近似解法としての多目的進化計算手法の導入について検討する.また道路点検を再度実施し、新しい劣化状況データが得られた場合に、道路の劣化予測モデルを逐次更新するデータ同化手法の導入を試みる.
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大により参加を予定していた学会がオンライン開催となり,当初見込んでいた旅費が使用できなかった.本年度もオンラインによる学会開催が続いた場合は,開発中の交通量推定モデルの精度を向上させるために,人の流れを収録したデータベースの購入等により,本予算を使用する予定である.
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