2020 Fiscal Year Research-status Report
Time Series Analysis of the Relationship Between Urban Development and Railway Demand Under Deregulations of Floor Area Ratio in Tokyo
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20K04733
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
日比野 直彦 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (10318206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 容積率緩和 / 高層ビル / 都市鉄道 / 鉄道需要 / 都市再開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京をはじめとする大都市では,容積率規制の緩和に伴い,都市再開発,高層ビルの建設が行われている.また,国際競争力の強化や訪日外国人対応等を背景としたさらなる緩和もあり,この傾向は今後も続くことが予測されている.一方,高層ビルの建設と鉄道駅整備に要する時間に差があることから最寄り駅では過度な混雑が発生し,快適性だけでなく安全性においても問題が生じている.この都市密度の増加と交通施設容量の不均衡が,さらなる都市問題を引き起こす可能性が高い. 以上の問題意識を踏まえ,2020年度前半に,「東京都統計年鑑」, 「建築統計年報」,「鉄道輸送統計年報」, 各鉄道会社ウェブサイト等よりデータを収集し,データベースの作成を行った.「東京都統計年鑑」からは区単位の建物高さ区分別の床面積のデータを,「建築統計年報」からは高さ60mを超える高層ビルの竣工年, 住所, 適用制度, 設計者, 施工者, 階数, 敷地面積, 延べ床面積等のデータを収集し,データベースは,区別,町丁目別,建物別(高さ60m以上の高層ビル)に分けて作成した.また,各高層ビルの用途別の床面積をまとめたものは存在しないため,個別に調査した. 2020年度後半に,作成したデータベースを用い,都市再開発の時系列変化をグラフ化し,さらに,地理情報システム(GIS)ソフトを用いて視覚的に表現した.また,作成したグラフと地図を基に,それぞれの時期においてどのような開発がなされたのかを明らかにした. ここまでの成果を土木学会等で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度前半に,分析に必要となるデータを収集し,データベースの作成を行った.また,作成したデータベースを用い,都市再開発の時系列変化をグラフ化し,さらに,地理情報システム(GIS)ソフトを用いて視覚的に表現した. 2020年度後半には,作成したグラフと地図を基に,それぞれの時期においてどのような開発がなされたのかを明らかにした. コロナ禍のため大学に行くことができない期間があり,当初の計画から多少の変更はあったものの,概ね順調に進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はモデルの構築を行う.具体的には,各高層ビルの竣工年,地域,適用した制度,用途別の床面積等と,最寄り駅の鉄道乗降客数の変化をモデル化し,その因果関係を明らかにする.また,一つの高層ビルの周りに複数の駅がある場合や,その逆に一つの駅の周辺に複数の高層ビルが建設された場合があるため,単純に供給床面積と乗降者数は一対一関係になっていない.ここでは,各駅までの所要時間,人口,ホテルの部屋数等,モデル構築に必要なデータを加えることを計画している. 2022年度には,2021年度までの分析結果を踏まえ,具体的な施策の提案,論文の執筆を行う予定である.経済学では,容積率規制により間接的に交通施設容量との整合を取るのではなく,規制を緩和し,例えば混雑課金等の施策により直接コントロールすべきとの考えがある.しかしながら,十分な環境が整わない状況での規制緩和により,混雑,列車遅延等の様々な問題が発生していることは事実である.これらの問題解決に向けて,モデルから得られる定量的な分析結果を基に,どの程度の規模の鉄道駅改良が必要か,規制緩和にはどのような条件が必要か等を明らかにする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,国内外への出張ができなかったこと,また,大学へ行くことができず,研究補助者への謝金が減ったこと,研究成果を発表した学会が,オンラインで開催され,学会参加費が減額されたこと等が理由である. 2021年度後半からは,学会参加のための出張ができるようになることを期待し,その費用に充てる予定である.また,2021年度もコロナが終息していない場合は,2022年度へ持ち越すことを予定している.
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