2020 Fiscal Year Research-status Report
Building on walking environment in road crossing where pedestrians are given top priority
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20K04735
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
川本 義海 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (20334807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 基浩 公益財団法人豊田都市交通研究所, その他部局等, 主幹研究員 (90450874)
寺内 義典 国士舘大学, 理工学部, 教授 (00338295)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 無信号横断歩道 / 歩行者優先 / 一時停止率 / 速度抑制 / 交通安全 / 安全性と円滑性 / 意識と挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
歩行者の交通安全に関わる各種資料(交通安全白書、警察白書、国土交通白書、新聞記事ほか)、研究論文(交通工学、土木学会、IATSS Reviewほか)などの文献調査を行った。その結果、国内における交通事故死者数が最多となった1970年以前ですでに歩行者優先の思想と交通安全上の課題として現在指摘されている多くの課題(法令順守、意識啓発)が具体的に指摘されているにもかかわらず、現在に至ってもその状況は道路交通政策上において根本的には改善されていない実態が明らかとなった。一方で交通工学上の安全対策については様々な対策が講じられており、結果として交通死者数は減少してきていることも確認でき、人中心の交通環境の再構築に当たってのソフトとハードの整合性を再確認する必要性を見出した。 また本研究において対象とした福井、豊田、世田谷(東京)での現地踏査、横断歩行者と通行車両の実測調査分析及び行政機関へのヒアリング調査により、ドライバーの習慣的な運転行動を捉え、意識と行動の実態間の一致と乖離の関係性を明らかにするための調査手法、分析の視点、具体的な対象箇所選定の妥当性と適用可能性を検討した。その結果、既存の交通安全施設の設置方法の見直しや安全確保に対する考え方、常識の妥当性について確認し、事前調査と分析結果を踏まえてこれまでの常識や実態に再検討を要する可能性があることを指摘した(歩行者から見た道路の段階構成、負荷の公平性、一時停止線や横断歩道の位置、標識の示し方など)。 さらに歩行者の交通安全に関する研究に取り組む研究者を交えた研究討論より、道路の仕立て方が車の速度や歩行者の安心感に相応の影響を及ぼすこと、海外の安全対策を参考によりシンプルに構造面および規制面から試行的に実験とその効果検証を試みてみることが期待されることを認識し、今後の意識調査と試行的実験に適用を試みることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定期的なオンラインミーティング、交通安全研究者との研究討論、行政の交通部署へのヒアリング、JAFとの同道調査検討をつうじて、研究対象と視点の適切性、妥当性、方向性を確認しながら進めることができた。またこれまでの歩行者優先施策について文献調査から網羅的に把握したとともに、実効性のある歩行者優先施策の社会実装と安全施設整備の改善・開発に向けた関係者間の基本的な協力体制が構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後実施予定のドライバー及び歩行者を対象としたアンケートの実施、また現場における歩行者優先の実態を観測・分析するにあたり、R2年度に討論した研究者、合同研究を開始したJAF福井支部、テレマティクスを用いた安全運転支援で協働する自動車損保会社、歩行者優先対策の試行的実施を協働で検討を始める交通管理者(警察)との定期的な情報交換と共同検討を計画・実施し、より現場に近く社会実装をめざした効果的な調査と効果検証を行う予定。 なお当初予定していた海外先進事例調査については、COVID-19の収束が見通せない中、次年度に延期するが、R3年度の研究成果を踏まえてより具体的な調査内容と視察対象の選定を行うこととする。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍により一部(東京都世田谷)での現地調査ができなかったことによる旅費の未執行、また現地実測調査および分析経費に未使用分があるため次年度使用が生じることとなった。なお、次年度において、これら未実施分について次年度分に加えて実施使用の予定。
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Remarks |
<報道>歩行者優先道路へ 福井大が現地調査、福井新聞201021/一時停止増やすため交差点で調査、NHK 福井県のニュース201020/信号ない横断歩道 停止率減 JAFと福井大、合同研究 対応策など発表、中日新聞(福井)210304/歩行者守る道路環境を 福井大とJAF 共同研究成果発表、福井新聞210304 <講習>福井県道路交通環境安全推進連絡協議会講習会(2021.3.10)
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