2022 Fiscal Year Annual Research Report
自然環境要因の変動を考慮した汽水性二枚貝ヤマトシジミの環境ストレス評価手法の構築
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20K04744
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤田 昌史 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 教授 (60362084)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Corbicula japonica / 酸化ストレスマーカー / 成長力 / 開閉運動 / 汽水域 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の研究計画では、1)ヤマトシジミの環境ストレスの分子レベル・個体レベルの応答機構の解明、2)ヤマトシジミ保全の観点から地球環境時代の汽水域環境の在り方(総括)の実施を予定していた。 1)については、ヤマトシジミの個体レベルの応答を高い時間分解能で評価するために、連続測定が可能な開閉運動に着目し、マグネットとホール素子センサーをヤマトシジミに装着して底質組成に対する影響を調べた。シルト・粘土含有率を2%、20%、40%に調整した水槽を用意し、ヤマトシジミを各8個体入れて、それぞれの開閉運動を測定した。比較のために、都市下水 (5倍希釈)の開閉運動の結果も引用した。シルト・粘土含有率40%のとき、開殻頻度が高くなった(p<0.05)。主成分分析を行ったところ、シルト・粘土含有率40%は比較的都市下水の近くに布置されており、環境ストレスを受けるほど開殻頻度、開殻率が高くなり、開殻時間が短くなることがわかった。本手法を現地に適用する際には、底質組成にも留意しながら、水質に対する応答を評価する必要があることが明らかとなった。 2)については、気候変動の進行により、自然環境要因も変動していくなかで、汽水域は特に塩分や水温等の自然環境要因の変動の影響を受けることから、これらの影響を総合的に評価する手法を検討した。本研究では、IBR(Integrated Biomarker Response)指標に着目し、水温T、塩分S、飼料環境F、T×S、T×F、S×F、T×S×Fの各条件にヤマトシジミを曝露し、肥満度、ER (Energy reserve)、SOD、CAT、ORAC、LPOの応答を調べた。その結果、塩分や飼育環境よりも水温の影響が大きいことが明らかとなった。また、人為環境要因の影響を評価する場合には、水温等の自然環境要因の影響も考慮する必要があることが示された。
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Research Products
(6 results)