2021 Fiscal Year Research-status Report
感染症早期発見に向けた流入下水中胃腸炎ウイルスの網羅的検出と流行指標の開発
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20K04745
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
風間 しのぶ 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20749444)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腸管系ウイルス / メタゲノム / 流行指標 / 下水 |
Outline of Annual Research Achievements |
今後ますます進むであろう社会の国際化や気候変動により、病原微生物の生態が変化し、新興ウイルスあるいは,これまで我が国では感染報告の無いウイルスによる新たな感染症の脅威が高まると考えられる。人間社会におけるウイルスの多様性と感染症の発生程度を把握し、ウイルス感染症を早期検出することは感染症対策を講じる上で必要かつ急務である。本申請研究では,下水試料からssRNAウイルス(多くのヒト腸管系ウイルスが有する特徴)を網羅的に検出し、それらウイルス感染の発生状況を明らかにする。加えて,検出されたウイルス(既知・未知)を用いて、ウイルス感染症の発生程度(感染者数やその割合)を示す流行指標を開発することを目的とする。本年度の研究実施計画は昨年度に引き続き下水試料(6試料)からの既知および未知ヒト腸管系ウイルスやバクテリオファージの検出を実施した。特に、未知ウイルスゲノムの可能性を有する配列(未知配列)について、既知ウイルスとの類似性を分析した。その結果、各試料から検出された未知配列の46.3~94.1%がウイルスに類似していた。そのうち、34.5~70.4%が ssRNA ウイルス、5.8~58.1%がdsDNAウイルス、1.1~29.4%がssDNAウイルスに類似していた。さらに、サンプル間で共通して検出された未知配列が各試料から16~54配列確認され、それらの29~100%がウイルスに類似しており、その多くが(14~67%)がssRNAウイルスに類似しており、未知ウイルスの検出と流行指標の開発に有用な結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、本年度の研究実施計画に必要な下水試料入手が困難であったため、当初の研究実施計画を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで試料入手が困難であったが、来年度は国内外の下水試料を収集し、確立した手法を用いて本研究課題を遂行する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で試料が入手できず、分析に必要な試薬代が当初の予定と大きく異なった。翌年度分として請求した金額については、試料入手 次第その分析費用として使用する。
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