2023 Fiscal Year Annual Research Report
プロセスの相互関係を考慮した森林生態系サービス評価統合モデルの開発
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20K04747
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
児島 利治 岐阜大学, 高等研究院, 准教授 (90346057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 泰洋 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 准教授 (10834913)
橋本 啓史 名城大学, 農学部, 准教授 (30434616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 森林生態系サービス / 森林環境税 / 流域スケール / 統合評価モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
森林生態系サービスは,多様なプロセスの相互作用による結果であり,持続可能な森林自然の維持には,森林生態系サービスを定量的に評価できるツールによる森林管理施策の評価が必要である.森林管理のコストは森林環境税としてサービスの受益者が負担することになりつつある.本研究ではコスト支払者に対して最適な森林管理シナリオを提案するためのツールとして,流域スケールでプロセスの相互作用を考慮した統合生態系サービス評価ツールの開発を行うことを目的としている.令和5年度は,個別モデルを統合し,①水資源供給,②炭素吸収,③木材生産の3つの生態系サービスを同時に評価する統合モデルを構築した.森林生態系サービス評価では,従来,樹種ごとの評価はあまり行われておらず,針葉樹林,広葉樹林といった大まかなカテゴリーで評価される場合が多いが,本研究では,針葉樹として,スギ,ヒノキ,アカマツ,カラマツ,広葉樹として,ブナ,ミズナラ,コナラ,ケヤキ,クリ,サクラ,カンバ類,カエデ等の多様な樹種による評価モデルを構築した.統合モデルを用いて森林管理や樹種,林齢によって供給される生態系サービスの違いを評価した.スギ,ヒノキの水資源供給量は同程度であるが,スギは間伐の影響をほとんど受けないことに対し,ヒノキは間伐によって水資源供給量が減少すること,広葉樹は間伐によって水資源供給量が増加すること,スギ,ヒノキに対して広葉樹の炭素吸収量が少ないが,広葉樹の中でもカンバ類はさらに少なくブナの半分程度であること等,モデル計算によって各樹種の生態系サービスの違いが明らかになった.また,長崎県大村市の郡川流域を対象とした統合モデルによる生態系サービスの評価を行い,学術誌に成果を発表した.
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