2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of reaction model for coagulation with considering the characteristics of varying components in natural waters
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20K04752
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 紘晃 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 助教 (80637182)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 凝集 / 天然有機物 / 水中金属 / 鉱物粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は天然水中で大規模な凝集が生じる物質である鉄について,高Ca濃度,高Mg濃度における凝集の観察を行った。CaおよびMgの濃度は海水中のMgの濃度である24 mMの条件とした。また,疑似太陽光を照射した場合の凝集体形成の変化を調べた。 ナノ粒子トラッキング解析法による粒子解析の結果により,Fe(III)濃度が200 nM程度から明瞭な凝集体の形成が認められた。令和4年度に行った高NaCl濃度における結果と比較すると,高Ca濃度,高Mg濃度,高NaCl濃度共に,同じFe(III)濃度では同程度の粒子径分布となった。令和4年度の時点では,天然の海水中ではCaがFeの大規模凝集の決定的要因となっている可能性を考えていたが,そうではなく,CaのみではFe(III)にはNaClと同様のイオン強度増大による効果しかもたらさないことが示された。また,Ca, Fe(III)の他にフルボ酸が加わった場合には凝集体は小さくなる様子が観察された。天然の海水中においては粘土鉱物あるいはフルボ酸以外の有機物がFe(III)の大規模凝集の決定的要因になっている可能性が考えられる。 フルボ酸に疑似太陽光を照射したところ,わずかに粒子数が減少する様子が確認された。また,Fe(III)とフルボ酸の両方を含む溶液に疑似太陽光を照射したところ,同様にわずかに粒子数が減少する様子が確認された一方で,全体的に粒子径が大きくなり,粒子径の分布はFe(III)単独での分布形に近づいた。本研究期間中には多数の濃度条件での実験を実施することはできなかったが,太陽光によるフルボ酸とFe(III)の結合の破壊は粒子サイズに大きな影響を与えることが示唆された。
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