2021 Fiscal Year Research-status Report
住民コミュニティ主体ごみ処理におけるごみ分別行動定着要因の解明と導入効果
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20K04753
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
関戸 知雄 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50301015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ごみ分別 / リサイクル / 東南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実績は以下の通りである。 (1)調査対象施設の廃棄物フロー調査 調査対象のコミュニティー廃棄物処理(Dadaprejo Mandiri TPS3R; DM-TPS)の廃棄物フローを明らかにした。COVID19の影響も少なくなり、定常的な廃棄物が収集されていることを確認した。また、組成調査を2回実施し、資源物の選別状況を明らかにすることで、詳細な物質フローを明らかにした。1日約200トンの廃棄物が搬入され、資源として選別されるのは約6%であることが明らかとなった。ごみ組成調査の結果から、資源回収ポテンシャルは約55%であることから、現状のシステムでは効率の良い資源回収が行えいないことを明らかにした。 (2)参加形態調査 アンケート実施にあたり、DM-TPS内の世帯参加状況を調査した。その結果、世帯ごとに排出される廃棄物の収集とは別に、6つのごみ銀行がDM-TPS内に存在しており、これを区別してアンケートを実施する必要があることがわかった。ごみ銀行参加世帯による資源分別割合はDM-TPSから搬出される資源量のおよそ8%であることが明らかとなった。また、ごみ銀行に参加していない世帯のごみ分別状況は非常に低いが、一部の世帯は分別を行っていることがヒアリング調査で明らかになった。こうした世帯を抽出し、今後は分別キャンペーン実施の前後における世帯の意識および行動変化を明らかにする必要がある。 以上の結果より、DM-TPSでのごみの選別効率は全体の回収可能資源量からするとごくわずかであり、施設での選別作業では資源回収が不十分であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、初年度に物質フローの解析とキャンペーン実施のための予備調査およびアンケート調査の予定であったが、COVID19のため、調査予定内容がほとんど現地で行えなかった。2021年度は、DM-TPSの物質フローを明らかにするために搬入される廃棄物量調査と代表試料の採取、組成分析を2回実施することができた。雇用のための謝金の支払い方法について検討し、研究協力者を介して行う体制を整えることができた。また、週1回の研究協力者との遠隔会議を行い、研究の進捗や計画の見直しを随時行うことで、現地に行くことなく効率的に研究を進める体制を構築できた。また、研究協力者および調査対象世帯の選定を行い、キャンペーンに協力を依頼するコミュニティーを選定することができた。以上より、当初計画より1年遅れではあるが、研究内容を変更することなく調査を実施することができた。 当初計画ではCBWMの作業環境変化と環境影響調査として、キャンペーン中のごみ分別実施により、分別作業実施作業員および収集作業員の作業時間について、キャンペーンの前後に実測する予定であったが、COVID19の影響もあり作業員の人数が不十分であることと、ごみ分別協力世帯数が少ない可能性があり、十分な選別効率の向上が確認できない可能性がわかった。このため、現状のDM-TPSでの作業員のごみ選別効率を実測し、計算によって資源回収量の向上を推定する予定とした。
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Strategy for Future Research Activity |
キャンペーンの実施:DM-TPSに対して、ごみ分別キャンペーンを3回実施(2022.6, 2022.9, 2023.5)する。それぞれ1か月間の期間、残渣ごみ(生ごみや庭ごみ、汚れた紙など)と資源ごみ(プラ、紙、金属、ガラス)の分別を依頼する(強制ではない)。以下に示す調査およびデータ解析後にキャンペーン実施の改善点(周知方法、住民からの要望)を取り入れ、現状のシステム改善提案を行う。 抽出世帯へのアンケート調査とごみ組成調査:300世帯を抽出し、キャンペーン前後にアンケートを実施する。これにより、分別行動の定着度、意識変化、分別の負担感を数値化し、分別阻害要因を解明する。アンケートは、戸別訪問により実施する。また、調査対象世帯が排出する資源ごみと残渣ごみを3日間回収し、その組成(プラ、紙、金属、ガラス、有機系ごみ、その他)ごとの質量を実測する。得られたデータより、資源分別率(=分別資源ごみ量÷総ごみ量)を推定する。 ごみ分別行動定着要因の解明と方策提案:アンケートで得られた意識変化、分別の負担感を外的変数とした回帰分析を実施する。これにより、 分別行動の定着度に影響する因子明らかにする。解析結果より、ごみ分別行動定着のための施策提案をする。
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Causes of Carryover |
当初計画では、初年度に物質フローの解析とキャンペーン実施のための予備調査およびアンケート調査の予定であったが、COVID19のため、研究代表者が現地に行くことができず、調査予定内容がほとんど行えなかった。このため、2020年度実施予定分の助成金を繰り越し、2021年度に使用したため、次年度使用額が生じた。 2021年度から本格的調査を行うために、定期的な遠隔会議実施を行い、研究協力者との打ち合わせを実施した。また、研究補助として、研究協力者の大学学生等を雇用するための謝金の支払い方法について協議を行い、研究代表者が送金することで建て替え、雇用者に支払う方法を構築できた。2022年度以降、研究代表者が現地に行くことができない場合でも、同様の方法で現地調査およびデータ収集を行う予定である。
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