2020 Fiscal Year Research-status Report
Removal of fluoride and arsenic by an electrolysis system with a perforated plate as a diaphragm
Project/Area Number |
20K04754
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
川上 智規 富山県立大学, 工学部, 教授 (10249146)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多孔板 / フッ素 / ヒ素 / 電解法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フッ素やヒ素の除去法として電解法を用いる。電解法は、隔膜で陽極と陰極とに隔てられた電解槽で溶液を電解することにより陰極でpHを上昇させ、それに伴って沈殿するマグネシウムやカルシウムとフッ素やヒ素とを共沈除去する方法である。本研究の特徴として、電解隔膜に多孔板を用いることである。多孔板は厚みのある板に径の小さな孔を多数開けたもので、孔内の乱流拡散が抑制できる。溶液は孔を抜けて移動できるが、イオン成分の拡散が抑制されるため、溶液を孔を通過させながら電解出来るという特徴を有する。プラスチック板に穴を開けただけの構造であるため、劣化が無く、素焼板のように閉塞することもない。 2020年度は多孔板を用いた電解法を、スリランカの井戸水のフッ素除去、バングラデシュの井戸水のヒ素の除去、下呂温泉のフッ素とヒ素との同時除去に適用する際の多孔板の最適化を実施した。コロナウィルスの影響により、海外への渡航はできない状況が継続しているが、スリランカとバングラデシュの井戸水の水質分析データを用いて現地の井戸水を合成することによって、実験室内でほぼ予定通りの実験を実施することができた。下呂温泉の温泉水は現地で入手したものを実験室に持ち帰り実験に供した。具体的には、流体解析モデル(Cham社、Phoenics)を用いて、多孔板の厚み、孔径、孔数を変化させ、多孔板をはさんだ溶液の拡散状況をシミュレーションを行い、多孔板の最適化を行った。シミュレーション結果を中心として、多孔板の厚み、孔径、孔数を変化させた装置を作成し、実際に電解を行うことによって、フッ素やヒ素の処理性能を評価した。シミュレーションによる最適値と実験による最適値がおおよそ一致したことから、多孔板の最適化は完了とし、次のステップとして連続式の運転に取り掛かろうとしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響により、スリランカやバングラデシュへの渡航はできない状況が継続している。しかしながら、現地井戸水の分析データは従前より所持しており、井戸水を合成することによってほぼ予定通りの実験を実施することができた。下呂温泉に関しては実際の温泉水を採取し、実験室での実験を実施することができている。シミュレーションに基づき、多孔板の厚み、孔径、孔数を調整することにより、多孔板の最適化を試み、ほぼ目標としたフッ素やヒ素の処理成績を修めることができた。これらのことから、2020年度の目標である多孔板の最適化はほぼ完了し、2021年度の目標である連続式装置の運転にとりかかれそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
現状では、スリランカとバングラデシュの井戸水には合成井戸水を用いるしかないが、2021年度には実験室内において連続式装置の運転にとりかかれそうである。また、下呂温泉に関しては実験室内で実際の温泉水を用いて連続式の装置を運転できる。連続式の装置は、原水をまず陽極槽に導き、電解を行うことにより生成した水素イオンによりアルカリ度を除去した後、陽極槽の溶液は多孔板を通過して陰極槽に流入するという処理フローを採用する。隔膜である多孔板を溶液が通過することにより、フローがシンプルとなるうえ、陽極から陰極に溶液を送るポンプが不要になる。これらの運転により、運転条件(流量、電流、隔膜面積)の最適化を試み、2022年度のスケールアップのための基礎データを取得する。
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Causes of Carryover |
予定していた旅行がコロナの影響で実施できなかった。金額が約7千円を小さく全体に影響するものではないが、2021年度では物品費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)