2021 Fiscal Year Research-status Report
Fate of food poisoning causing Clostridium perfringens in water environment, and its disinfection.
Project/Area Number |
20K04756
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
橋本 温 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (30332068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ウェルシュ菌 / cpe遺伝子 / 下水放流水 / 根菜類 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、ウェルシュ菌cpe遺伝子保有株の下水放流水等による河川水の汚染と根菜類から分離される本菌との関連性について検討を行った。本年度はじゃがいもから分離したウェルシュ菌、全288株のcpeとcpa, cpb, cpb2, etx, iap遺伝子の保有状況について調査し、毒素型分類を行った。 最も優占的であったのはcpeを保有せず、cpaを単独で有するType Aウェルシュ菌で、全体の76%を占めた。cpe遺伝子を保有するウェルシュ菌は全体の22%であり、そのほとんどである21%がcpaとcpeを有するType Fに分類された。残りの1%はcpeにcpaとcpbを有するType Cに分類された。 根菜類のcpe遺伝子保有ウェルシュ菌の汚染源としては、耕作土壌に由来すると考えられ、耕作土壌のウェルシュ菌の汚染源としては、家畜糞便由来の堆肥や下水放流水を受けた河川水などによる灌漑が考えられる。本研究では特に人に起源を有し、水環境の汚染が懸念される下水放流水に高い割合で存在するcpeを有するウェルシュ菌とじゃがいもから分離されるウェルシュ菌、特にcpe遺伝子保有ウェルシュ菌との関連性について検討した。既報では下水放流水から分離されるcpe遺伝子保有ウェルシュ菌はcpa、cpeに加えてプラスミド型のcpb2遺伝子を保有するタイプが優占的に検出されているが、じゃがいも分離株からはこのタイプは検出されず、下水放流水を起源とする灌漑用水などによる水循環とウェルシュ菌汚染については否定的な結果となった。これらの関係性を確定するために、6地域30試料のじゃがいもの地域性、cpb2遺伝子保有ウェルシュ菌の出荷までの貯蔵などによる減衰などを検討する必要がある。加えて、他の遺伝子、cpeや16S rRNA遺伝子をより広範に調査するなど、次年度以降の研究の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの流行により、下水放流水試料の調査を中心に実験等が行えない期間があったため、昨年度から計画の進行ガヤや遅れ気味である。一方で、成果発表の準備なども整っており、今年度には十分に対応が可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、下水放流水およびその影響を受ける河川水からウェルシュ菌を分離し、その遺伝子を詳細に調査する。遺伝子の調査はcpa, cpb, cpb2, etx, iapおよびcpe遺伝子と16SrRNA遺伝子、cpeプラスミド遺伝子について行い、統計的な解析に耐えうるよう100~200株のシーケンスデータを得る予定である。 得られたシーケンスデータを元に、昨年度までに得られたじゃがいもからの分離株のシーケンスデータとの関連性、相同性について解析を行い、水循環-根菜類の汚染についてその可能性も含めて検討する。特にcpb2遺伝子保有株の状況から本ルートについて否定的な見解が出ているが、これについてもこれらの検討で確定する。 これらの成果を元に、下水放流水や根菜類のcpe保有ウエルシュ菌の汚染状況やリスクについて評価する。
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Causes of Carryover |
昨年度実施予定の下水の調査が遅れた影響で計画との差額が生じた。今年度の次年度分も含めた調査の中で適正に使用する予定である。
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