2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on risk evaluation of volcanic gas in Mt.Aso atrio area
Project/Area Number |
20K04759
|
Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
玉井 昌宏 大阪産業大学, 工学部, 教授 (70197557)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 大気環境 / 局地風 / SO2 / 阿蘇山 / 数値解析 / データ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,阿蘇山起源SO2の火口原域でのリスク評価法の確立を最終目標として,初年度(2020年度)は, A)SO2ガス挙動と気流構造との関係性の理解のための現地観測と,B)SO2ガス挙動の数値計算法の確立のための検討を実施した.初年度の主要な実績は以下の通りである. A)SO2ガス挙動と気流構造との関係性の理解のための現地観測 申請段階においては現地観測を実施する予定であったが,新型コロナウイルスによる緊急事態宣言等の影響により,現地観測を実施することができなった.そこで,内容を変えて,熊本県の大気環境観測車による観測データとアメダス等の気象観測データを利用して,SO2ガス挙動と気流構造との関連性について検討した.その結果,火口原南側底部における高濃度事象として,冬型の気圧配置において北西寄り季節風が流入する場合に生じる「冬季季節風型」と,夜間に北寄り山風が吹いた後に,南側底部において西寄りの谷風が吹くことにより生じる「山谷風交替型」があることがわかった.加えて,火口原北側底部における高濃度事象として,高温位の気流が南方より流入する場合に生じる「山岳波型」と,夜間に南寄り山風が吹いた後に,北部底部において西寄りの風が吹くことにより生じる「山谷風交替型」があることがわかった. B)SO2ガス挙動に関する数値計算法の確立 数値計算には気象計算に一般的に利用されているWRFを用いた.まず,山谷風や山岳波など山地周辺の局地風の計算精度の確認のために,大阪平野に流入する冷気流に関する数値計算を実施した.従来より,研究代表者はこの冷気流に関する現地観測やデータ分析を実施してきており,検証データの蓄積がある.大阪平野北部地域に流入する冷気流の数値計算を実施して,WRFが山地周辺地域の気流場を良好に再現することを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画段階において,初年度(2020年度)は,A)SO2ガス挙動と気流構造との関係性の理解のための現地観測と,B)SO2ガス挙動の数値計算法の確立のための検討を実施することとしていた. A)について,新型コロナウイルスによる緊急事態宣言等の影響により,現地観測を実施することができなった.そこで,熊本県による大気環境観測のデータとアメダス等の気象観測データを利用して,SO2ガス挙動と気流構造との関連性について検討した.当初目的の一部は達成できたが,阿蘇山の山谷風や山岳波など独自の気象データを収集することができなかった. B)の数値計算法の検証についても,A)による独自の気象データが獲得できなかったことから,大阪平野に流入する冷気流に関するデータを用いた. 以上より,本研究の進捗状況はやや遅れていると判断している.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度(2021年度)は,まず,初年度(2020年度)と同様に春季と夏季の現地観測を実施することとしていた.新型コロナウイルス問題の解決後に,現地観測を実施予定であるが,全く見通しは立っていない.当面は初年度と同様に既存の観測データを利用して,局地風のSO2ガス挙動や濃度分布に及ぼす影響について検討する.数値計算についは,WRFの利用のめどは立ったことから,既述の観測データの中の高濃度事象発生日を対象にSO2挙動に関する数値計算を実施する.局地風構造とそれによるSO2ガス輸送メカニズムを検討する. 最終年度については,今のところ計画通りの内容とする.年単位の長期間を対象とした気流場とSO2ガス挙動の再現計算を実施するとともに,SO2ガスのリスク評価のために長期間平均濃度分布を算出する予定である.極端な高濃度事象の発生が想定される気象条件(ターゲットシナリオ)を数値計算により明らかにする.
|
Causes of Carryover |
2020年度当初より,新型コロナウィルスにより緊急事態宣言が繰り替し発出されるなどしたために,予定していた阿蘇山火口原における現地観測が全く実施できなかった.また,数値計算に使用するためのパソコン等,適当な研究機器を購入することができなった. 今のところ,2020年度に実施できなかった現地観測は2021年度に実施し,また,既述の機器についても2021年度に購入予定である.このように,2020年度分の未使用額については,2021年度に使用する予定である.
|
Research Products
(1 results)