2021 Fiscal Year Research-status Report
夜行性の両生類トウキョウサンショウウオはどの様な人工光であれば悪影響を受けないか
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20K04761
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
湯谷 賢太郎 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (00344953)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トウキョウサンショウウオ / 光害 / 生態系保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,LED照明の色と照度の違いが希少種で夜行性であるトウキョウサンショウウオの夜間活動量に及ぼす影響を明らかにすることを目的として実験を行った.実験には白色,青色,緑色,黄色,赤色のLEDを用い,1ルクスと10ルクスの照度下での本種の活動量を消灯時の活動量と比較した. 光色をカテゴリカル変数,体重と照度を連続変数として活動量に対する共分散分析を行った結果,本種の夜間活動量は光色によって差があることが確認された.一方で,体重と照度によっても活動量が異なることが示されたものの,体重と照度の間には交互作用も確認され,本種の活動量を説明するためのモデルには体重と照度の交互作用を考慮する必要性が確認された. 活動量を目的変数,照度と体重を説明変数,消灯条件を含む光色を変量効果とした線形混合モデルを作成した.作成されたモデルでは,全ての変数の係数が有意であり,有意なモデルが作成された.本実験で用いた個体の平均体重である1.4 gの個体に対する消灯条件,1ルクス,10ルクスのそれぞれの照度条件において各光色における活動量を推定した.夜間照明の本種の夜間活動量に対する抑制効果は白色光で最も大きく,赤色光においても同程度の影響が見られた.この2色の光では1ルクスの照度で消灯条件と比較して活動量が32 %と35 %となり,10ルクスの照度において活動量がともに0となった.一方で黄色光では,1ルクスの照度での活動量が消灯条件の64 %,10ルクスの照度では29 %となり,他の光色の場合と比較して影響が小さいことが明らかとなった.また,10ルクスで行った実験では,最も影響を受けなかった黄色光であっても活動量が消灯条件の29 %に抑制されたことから,照度が高くなれば光色に関わらず本種の活動量は抑制されることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飼育中の事故により大型の個体が死亡してしまい,小型個体を中心に実験を進めたために個体体重データの幅が狭くなるというアクシデントがあったが,データとしては十分に得られており,結論への影響は少ない見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね予定通り進んでおり,今後はこれまでの研究成果の検証とやり残し部分の確認を行い,データの解析と論文の執筆を行う.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,予定していた学会発表を行わなかったが,その分を次年度に繰り越して研究発表を行いたい.
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