2020 Fiscal Year Research-status Report
オンサイト調査に向けたカビ臭原因物質産生藍藻類の迅速モニタリング手法の開発
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20K04767
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
浅田 安廣 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (60610524)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 藍藻類 / カビ臭 / 遺伝子検査 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
水道ではカビ臭原因物質による異臭味問題が顕在化しており、その問題解決が求められている。特に藍藻類を原因とする水道におけるカビ臭問題を制御するためには、発生源での早期発生把握と、その結果に合わせた浄水場での対応が重要な対策となる。 しかし、現在モニタリングで実施される顕微鏡による形態観察において、水源に存在する様々な生物の中から形態で産生株、非産生株を判断することは難しいケースがある。そこで本研究では,顕微鏡観察に代わるカビ臭原因物質産生種の存在把握を水源調査で実施可能な新たな手法を構築することを目的とした。令和2年度はカビ臭原因物質合成酵素遺伝子を対象としたPCR系を構築し、日本全国の様々な藍藻類の培養株や水源試料を用いてカビ臭原因物質産生藍藻類の簡易同定及び対象遺伝子の定量を試みた。 まず、水源より単離した藍藻株から得たカビ臭原因物質合成酵素遺伝子の配列情報に基づき、国内でのカビ臭発生の主な原因藻類であるMicrocoleus属、Pseudanabaena属、Planktothricoides属、Dolichospermum属、Aphanizomenon属の5属について、特異的に検出可能なプライマーを作成し、単離株のDNA抽出試料を用いて、PCR条件を決定した。結果として、5属に対しては特異的に検出・遺伝子定量が可能であることを示した。続いて、水源試料より抽出したDNA試料に対して構築したPCR系を適用したところ、各水源で単離したカビ臭産生藍藻株の属とPCRにより検出した属が一致する結果となった。また、対象遺伝子の遺伝子量を把握可能であった。そのため、構築した手法が水源でのカビ臭原因物質産生藍藻類の簡易同定ならびに遺伝子の定量に有用であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、全ゲノム解析を進める上での必要な試薬の確保が困難であったことから、カビ臭原因物質合成酵素遺伝子を中心に、カビ臭原因物質産生藍藻類のオンサイトモニタリングに向けたPCR系の構築を進めた。ラボ試験では、カビ臭原因物質産生藍藻類を簡易同定しつつ、遺伝子を定量可能なPCR系を構築できた。続いてオンサイトモニタリングを目指し、ポータブル型PCR機器に適用したところ、検出は問題ない一方で定量はオーダーレベルでの判断が適切であることが明らかとなった。令和2年度では、全ゲノム解析は進捗が遅れている一方で、オンサイトモニタリングに適用可能なPCR系については進捗が予定より進んでおり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
カビ臭原因物質産生藍藻類のオンサイトモニタリングに向けたPCR系の構築に対して、全ゲノム解析を進め、カビ臭原因物質合成酵素遺伝子以外に重要な遺伝子群を探索する。 オンサイトモニタリングに向けて、PCR環境を整えるとともに、前処理方法(DNA抽出)を検討し、オンサイトモニタリングを行うための実験道具一式を構築する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の関係で、全ゲノム解析に必要な試薬類の納期が大幅に遅れたことから年度内に実施できず、全ゲノム解析にかかる費用として次年度に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)