2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04769
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松田 昌洋 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (10528756)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 伝統木造 / 土蔵 / 耐力壁 / 地震防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
土蔵や町家などの土蔵造り建造物を研究の対象として、構造的に大きな役割を担っている大壁造り土壁の耐震性能を定量的に評価し、土蔵造り建造物の地震時挙動を明らかにすることが本研究の目的である。主たる耐震要素である大壁造り土壁については現状では構造的に不明な点が多く、特に大壁部分の土壁が地震時にどのような性能を有しているかについては明らかとなっていない。そこで大壁造り土壁や真壁の土壁を対象とした壁実験を実施することによって、耐力や剛性を定量的なデータとしてとらえ、大壁部分の土壁の構造的な役割を把握することが本研究の中で重要な部分と位置づけられる。 2021年度は大壁造り土壁の静的加力実験を実施した。これまでに整理した土蔵造り建造物の壁構法をもとに試験体の仕様を決定し、大壁部分の壁厚をパラメータとした土壁試験体(真壁を含む)を製作した。実験結果より、大壁造り土壁の破壊過程や荷重変形関係など耐力壁としての性能を定量的に把握した。大壁試験体の耐力・剛性や壁倍率は真壁試験体よりも大きくなり、大壁部分による耐力壁性能の上昇が示された。また、大壁部分による負担耐力は単純に土壁厚さに比例するわけではないものの、一定のせん断変形角までは壁厚にもとづいた耐力を期待できる可能性があることが明らかとなった。その他、壁実験の加力前に試験体の重量計測、常時微動測定を実施し、各試験体の固有振動数、微動レベルの剛性など今後の解析に必要なデータも収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に実施することができなかった実験パラメータを含む形で大壁造り土壁の試験体の種類、仕様を計画し、壁実験を実施した。実験データから大壁造り土壁の耐力・剛性、壁倍率など耐力壁としての性能を定量的に把握し、大壁部分や壁厚が耐力壁性能に及ぼす影響について分析を進めた。以上より、研究開始当初に計画していた内容まで実施することができ、順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は壁実験のデータ分析をさらに進め、土蔵など土蔵造り大壁をもつ建物の耐力・剛性の評価、耐震性能について考察し、研究全体のまとめを行う。
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