2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation on damage localization mechanisms of heterogeneous interface in concrete followed by improving mechanical properties of post-installed anchor
Project/Area Number |
20K04772
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 あゆみ 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (60644995)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | あと施工アンカー / 引抜き / 耐力算定 / 有限要素解析 / 超高強度繊維補強コンクリート / 耐震補強 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、接着系あと施工アンカーに関して引抜き試験および有限要素解析を実施し、その結果に基づいて異種界面近傍でコンクリートの損傷が局所化してひび割れになる過程を解明すること、さらに合理的にあと施工アンカーの力学性能を向上させることを目的にしている。2020年度は、過去に実施した超高強度繊維コンクリートまたはエポキシ樹脂で接着した接着系あと施工アンカーの引抜き試験結果について有限要素解析を実施し、実験結果との比較から接着系あと施工アンカーの損傷局所化メカニズムについて解析的検討を行った。その結果として、本研究の条件であれば、引抜き力を受ける接着系あと施工アンカーでは、以下の(1)~(3)に示す順に損傷が局所化して最終的なひび割れが形成されることが解析的に推察された。 (1)最大荷重に達する前に、アンカーボルトを埋設したコンクリート中に、アンカーボルトを起点とした複数の斜めひび割れが生じる。 (2)最大荷重に達した時点で、アンカーボルトの接着部(アンカーボルトと接着材間もしくは接着材とコンクリート間の界面)のほぼ全域で付着強度に達して、接着部の付着破壊が生じる。 (3)最大荷重以降に、接着部の付着破壊の損傷が局所化する。最終的には、接着部の付着破壊とコンクリートの斜めひび割れのうちひび割れ幅が大きなものとが連結して、複合破壊が生じる。 また、上述の通り最終的なひび割れが複合破壊であっても、実質的には接着部の付着破壊によって最大荷重が決まることが、新たに明らかになった。以上の結果は、本研究の目的であるコンクリートにおける異種界面の損傷局所化メカニズムの解明に資する有意義な結果が得られたものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、接着系あと施工アンカーに関して引抜き試験および有限要素解析を実施し、その結果に基づいて異種界面近傍でコンクリートの損傷が局所化してひび割れになる過程を解明すること、さらに合理的にあと施工アンカーの力学性能を向上させることを目的にしている。2020年度は、過去に実施した超高強度繊維コンクリートまたはエポキシ樹脂で接着した接着系あと施工アンカーの引抜き試験結果について有限要素解析を実施し、実験結果との比較から接着系あと施工アンカーの損傷局所化メカニズムについて解析的検討を行った。解析的検討で明らかになった接着系あと施工アンカーの複合破壊の損傷局所化メカニズムは、本研究で新しく解明した内容であり、研究が十分に進んだと考えられる。次年度以降はより広い条件を対象とした損傷局所化メカニズムの検討が必要であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、直径300mmの円柱型の小型試験体を用いた接着系あと施工アンカーの引抜き試験を実施し、接着材の種類、材料間の強度比や剛性比およびアンカーボルトの埋込み深さなどが異種界面の損傷局所化に及ぼす影響を実験的に検討する。また、実験から求めた材料構成則を用いて有限要素解析を実施し、解析結果と実験結果との比較から、実験条件が接着系あと施工アンカーの引抜き耐力やその損傷局所化メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の感染予防を目的として、教員および学生が密集する実験は延期したため、実験関連物品(試験装置、材料など)を購入しなかった。実験後に生じる材料などの廃棄費用を計上していたが、それも同様の理由で変更となった。 2021年度は延期した実験を集中的に行う予定であり、2020年度に購入予定だった実験関連物品および材料廃棄費用に当該助成金を用いる予定である。また、当初の予定通り、2021年度から重点的に有限要素解析を進めるため、新たに解析用のデスクトップパソコンを購入する予定である。
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