2020 Fiscal Year Research-status Report
危険性自己発信機構を有するあと施工アンカーの開発と実建物への適用可能性の検証
Project/Area Number |
20K04775
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
船木 尚己 東北工業大学, 建築学部, 教授 (70347897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 智己 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10552458)
畑中 友 米子工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (30805239)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | あと施工アンカー / 危険性自己発信機構 / ひび割れ / 引張耐力 / 有限要素解析 / 載荷試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、過酷な条件下においても長期間安定した性能を保持し、かつ、性能低下をアンカー自らが発信する機構を組み込んだ新しいタイプのあと施工アンカーを考案するとともに、アンカーの施工面に生じたひび割れが耐力性能に与える影響を評価する試験方法について提案し、実建物への適用の可能性について検証するものである。具体的には、主に以下の3点について取り組むこととしている。 ① 長期間安定した耐力性能を発揮するあと施工アンカーの提案 ② 性能低下の危険性をアンカー自らが発信する機構の提案 ③ アンカー施工面に生じたひび割れがアンカーの性能に与える影響に関する評価法の構築 本申請の初年度である2020年度は、アンカー形状に関する最適パラメータを解析的に検討することを主な目的とした。アンカーの耐力性能は、アンカー本体や穿孔の形状、接着剤の材料特性、および施工するコンクリートの強度等の違いにより異なることから、これらをパラメータとした3次元有限要素解析を行い、得られた結果に基づき、パラメータの違いによるアンカーの耐力特性や応力分布の差異について解析的に検証した。その結果、アンカーの耐力性能は、主にアンカー先端部の拡底形状に依存し、拡底径および厚さには最適値が存在することを確認した。次年度からは、アンカーの施工面に生じたひび割れがアンカーの耐力性能に及ぼす影響を確認するための載荷試験と、アンカーに導入する危険性自己発信機構の検討を本格的に開始する予定としているが、特に、自己発信機構の考案は解決すべき課題も多いことから、少しでも多く時間を費やすため、予定より早く載荷試験装置を製作するなどして対応している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請の初年度である2020年度は、アンカー形状に関する最適パラメータを解析的に検討することを主な目的とした。アンカーの耐力性能は、アンカー本体や穿孔の形状、接着剤の材料特性、および施工するコンクリートの強度等の違いにより異なることから、これらをパラメータとした有限要素解析を行い、得られた結果に基づき、パラメータの違いによるアンカーの耐力特性や応力分布の差異について解析的に検証した。その結果、アンカーの拡底部については、拡張径を大きくすると安定した応力分布を示し、本研究で目標としている、アンカーの最終破壊形式がアンカー筋破断となるものが実現できることを確認した。その一方で、最終破壊形式がアンカー筋破断となる場合、拡張径および厚さを増大させてもアンカーの引張強度は頭打ちとなったことから、アンカー筋の形状ごとの最適な拡張形状があることを解析的に明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度から、アンカーの施工面に生じたひび割れが耐力性能に及ぼす影響を確認するための評価法の検討と、アンカーに導入する危険性自己発信機構の考案を本格的に開始する予定としている。 自己発信機構は、アンカー本体に埋め込んだセンサーによって電気的信号に変換して発信することで実現可能であると考えている。しかしながら、アンカー本体にそれらの仕組みを組み込むためには、センサーの選定や、電源の確保の難しさ、信号を受信する側のシステムの構築など、解決すべき様々な課題があることを予想しており、機構の考案に少しでも多く時間を費やすため、機構の検証を行うための載荷試験装置を予定より早く製作して対応することとした。
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Causes of Carryover |
主な理由として、コロナウィルス感染拡大防止のため、研究発表会への参加ができなかったことがあげられる。
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