2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K04777
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
下村 修一 日本大学, 生産工学部, 准教授 (50443726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 寿昭 西松建設株式会社(技術研究所), 技術研究所建築技術グループ, 主席研究員 (40511390)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 拡底場所打ちコンクリート杭 / 鉛直支持力 / 群杭効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は杭先端モデルを用いたFEM解析と拡底場所打ちコンクリート杭及び場所打ちコンクリート杭を模擬した模型杭を使用した加圧土槽実験を実施した。FEM解析では既存の実験結果を対象に複数の地盤の構成則(モール・クーロン、修正モール・クーロン、Hardening-soil model)を用いてシミュレーション解析を実施し、本実験結果の分析に用いる地盤モデルを検討した。その結果、解析結果は実験結果に対して高めの沈下剛性を与えており、実験結果をシミュレートとすることが困難であった。これは杭先端のみをモデル化した場合、杭周面抵抗が先端地盤に及ぼす影響が考慮できないことが要因と考えられる。今後は杭先端以銭もモデル化した検討を進める予定である。 加圧土槽実験は、既往の研究で行った実験において、群杭の条件では杭体に曲げ変形が生じることが判明したため、模型杭の計測仕様を見直した。また、杭の鉛直支持機構は杭周面摩擦抵抗と杭先端抵抗からなるが、既往の実験では両者を明確に分離した検討が行えていなかった。そこで、本年度の実験では周面摩擦抵抗と先端抵抗を分離可能な模型杭を新たに作製し実験に供した。その結果、単杭に比べて群杭は杭間隔が狭いと杭周面摩擦力は低下するが、先端抵抗には明確な群杭効果は確認できなかった。ただし、群杭同士での比較では杭間隔が狭いほど先端抵抗は小さくなることを確認した。このように2本杭の場合には群杭効果は小さい結果が得られ、既往研究で指摘されているほどの影響はないことを確認した。さらに拡底杭と直杭の両実験を行った。拡底場所打ちコンクリート杭では杭先端の立ち上がり部による摩擦が杭の変位が進行するに伴って減少することが確認でき、杭形状の違いが支持力機構に影響を及ぼす可能性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画では加圧土槽実験を完了させる予定であったが、杭芯間隔と拘束圧のパラメータを変えた実験が当初の3割程度の実施状況であった。これは新型コロナウィルスの影響により実験の開始が遅れたこと及び模型杭の製作が遅れたためである。しかしながら少ない実験数ではあるが群杭効果に関する知見は得られている。この結果については日本建築学会に研究発表論文を投稿済みである(2021年4月初旬投稿のため、発表は現時点で未確定)。本年度実施予定の実験の準備はほぼ完了しており、次年度は本年度実施に至らなかった条件の実験を行うことで当初の計画に載せることが可能である。一方で、解析による検討を追加することにより、課題を多面的に検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度実施予定であった杭芯間隔と拘束圧のパラメータを増やした検討を行い、本年度に得られた知見を補強する。 次年度以降の計画は当初予定の下記のとおりである。 ●令和3年度の計画(杭先端の変形モード及び地盤変形に基づく群杭効果の分析) 令和2年度の成果を基に直杭と拡底杭の群杭効果の発生メカニズムを分析する目的で地中の杭と地盤の変形及び応力状態を実験及び解析により把握する。実験は研究分担者所有の遠心載荷実験で使用実績がある土槽を用いた模型実験を行う。土槽は半円状で一面がアクリルで構成されており,地中の杭及び地盤の挙動が観察可能である。今回は加圧土槽実験用に使用するため,加圧盤を新たに製作する。直杭と拡底杭を対象に行い,支持力と地盤の変形状態の関係性に着目して杭先端形状の違いが及ぼす影響を分析する。併せてFEM解析による実験のシミュレーションを行い,地盤の応力及び変形状態を把握する。実験は研究代表者、解析は研究分担者が行う。成果を国際会議に投稿する。 ●令和4年度の計画(群杭効果評価法の提案) 実験結果のシミュレーションの実績を踏まえ,FEM解析に基づくパラメトリックスタディを研究代表者、研究分担者ともに実施し,実験条件の範囲を超える条件下での群杭効果を把握する。この結果と実験結果とを合わせて拡底杭の群杭効果の評価法を構築する。成果を国内会議に投稿する。
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Causes of Carryover |
本年度は実験主体で計画していたが、新型コロナウィルスの影響で当初計画よりも実験開始時期に遅延が生じ、所定の数量をこなすことができなかったためである。 令和3年度は残りの実験を引き続き実施するため、その実験に必要な消耗品、計測機器の購入費に充てる。
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