2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K04790
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金尾 伊織 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (80372564)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 応力-歪モデル / 局部座屈 / 劣化勾配 / 数値解析 / 線材モデル / 繰返し挙動 / 鋼材 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は,現在開発中であるFERTの改良に努めた.FERTは,大変形挙動,破断および曲げ座屈,横座屈,局部座屈による不安定挙動を考慮できる解析法であり,大変形挙動,破断および曲げ座屈,横座屈については,精度よく追跡できることを検証済みである.しかし,局部座屈に関しては,劣化勾配を有する応力-歪モデルを導入することで局部座屈を考慮しているが,精度検証が不十分であったことから,局部座屈を考慮した応力-歪モデルについて再検討し,解析精度の向上に努めた. 局部座屈を考慮した応力-歪モデルにおいて,劣化勾配に入る判定を「累積歪」,「最大応力度」の両方で判定するようにし,劣化が始まるタイミングの向上に努めた.また,引張側と圧縮側では応力-歪の履歴が異なることから,引張側はバイリニアモデル,圧縮側は劣化勾配を含むトリリニアモデルを採用した.この応力-歪モデルの特徴は,極めて単純な履歴としている点である.他にも応力-歪モデルが提案されているが,履歴が複雑で,プログラミングも極めて複雑になるという問題があったことから,単純で耐力,耐力劣化開始点,最終的な耐力が予測できるモデルを目標としている. 提案したモデルを用いて,定鉛直荷重と繰返し水平力を受ける片持ち柱を対象として,劣化勾配などを設定して数値解析を実施した.断面は□-200×200×9~16,軸力比は0.1で,載荷履歴は,振幅2θp,4θp,6θpを2回ずつ繰返した.同じモデルを有限要素プログラムによる解析結果と比較し,最大耐力,劣化開始点,6θp時の耐力を予測できることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標は,①倒壊まで追跡できる立体骨組解析法の開発,②立体骨組が倒壊に至るまでの挙動データの蓄積とメカニズムの解明,③建物倒壊に影響を与える要因の特定と建物が保有する性能評価の確立である.2020年度は,①の倒壊追跡までの立体骨組解析法に努め,概ね予定通りの成果を得ることができた.判断理由は以下のとおりである. (1)応力-歪モデルについて再検討した. ●単純な応力-歪モデルを提案した.●劣化勾配を有する応力-歪モデルについて,劣化勾配開始点を見直した.●劣化勾配の大きさについて見直した. (2)上記を考慮した応力-歪モデルを構築し,そのモデルを用いて定鉛直荷重と繰返し水平荷重を受ける片持ち梁の数値解析を行い,FEM解析結果と比較し,劣化勾配開始点,最大耐力,最終的な耐力を概ね予測できることを確認した. この研究成果は,日本建築学会大会へ投稿し,発表予定である.より詳細な検討を進めて成果を整理し,査読付き論文へ投稿する予定である.これらの研究成果を持って1年目の研究成果とし,3年間の研究計画において,30%程度の達成率である.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,2020年度に改良した数値解析プログラムについて,より詳細な検討を進める.加えて,研究目標において,②立体骨組が倒壊に至るまでの挙動データの蓄積とメカニズムの解明,③建物倒壊に影響を与える要因の特定と建物が保有する性能評価の確立のためのデータ収集に努める. 改良したプログラムを用いて,中低層建物を対象として,部材ランク,偏心率,地震動をパラメータとした骨組倒壊解析を実施する.パラメータは,部材ランク,偏心率,地震動とする. 以上の解析で得られたデータを整理することを目標とする.2022年度は,2021年に実施した解析結果を取り纏め,パラメータによって,倒壊までのメカニズム,変形性能がどのように変化するかを検討する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、新型コロナウィルスの対応により、ゼミはオンラインで行っていたので、研究活動が停止していたことはなかったが、ゼミ活動、研究活動が大きく制約されたことが挙げられる。大学の解析環境を整える予定が大幅に遅れてしまい、ようやく12月頃に着手できた。研究の進捗に遅れはないので、2021年度に環境を整えて、精力的に研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)