2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K04790
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
金尾 伊織 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (80372564)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 応力-歪モデル / 局部座屈 / 劣化勾配 / 数値解析 / 線材モデル / 繰返し挙動 / 鋼材 |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震による建物被害が増大する中,建物の倒壊を防ぎ,安全性と経済性の両立が求められている.そのためには,建物が倒壊するまでのメカニズムを明らかにし,倒壊までの変形性能を評価する必要がある.本研究は,骨組の完全倒壊までの立体的挙動を追跡できる解析プログラムを開発し,立体骨組が倒壊に至るまでのメカニズムを明らかにすることを目的とする. 2020年度および2021年度は,開発中である局部座屈を考慮した応力‐歪モデルを導入した骨組解析法FERTを改良し,解析精度の向上に努めた.改良されたプログラムは,定鉛直荷重と繰返し水平力を受ける片持ち柱を対象とした解析を行い,同じモデルの有限要素解析結果と同程度の精度で,最大耐力,劣化開始点,大変形時の耐力を予測できることを確認した.また,骨組の振動台実験結果を模擬し,耐力低下のタイミング,最大耐力後の耐力劣化の様子を追跡でき,完全倒壊まで解析可能であることを確認した. 2022年度は,前年度までに改良を進めたプログラムを用いて1層1スパン骨組を対象とした一方向水平力を受ける完全倒壊解析を実施し,完全倒壊に影響を与える要因を明確にする目的で,最大耐力,変形能力(最大耐力時,90~0%耐力時)を指標としてデータを取りまとめた.得られたデータより,柱の幅厚比,軸力比が大きくなるほど最大耐力時の変形性能,完全倒壊に至るまでの変形性能が小さくなることを示した.また,骨組の耐力が最大時の半分まで低下した以降,耐力低下が急激になり,変形性能が小さくなることから,骨組の耐力が最大耐力の半分まで低下すると,完全倒壊に繋がる可能性があることを示した.一方,柱梁耐力比が倒壊挙動に与える影響は比較的少ないことを示した.より多くのデータを収集することで,完全倒壊が誘発される要因を示すことができる可能性を示した.
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