2020 Fiscal Year Research-status Report
高い耐震性と鋼部材の再利用性を兼ね備えた低コストリジリエントフレームの開発
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20K04791
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
多賀 謙蔵 神戸大学, 工学研究科, 教授 (40578259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉敷 祥一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00447525)
浅田 勇人 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70620798)
田中 剛 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90243328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鋼構造建物 / スプリットティ / 高力ボルト接合 / 塑性変形能力 / 繰返し載荷実験 / 有限要素解析 / エネルギー吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで鋼構造の接合部設計は乾式接合においても被接合材の塑性変形能力を活かすために接合部耐力を確保することが基本であったが、この場合、大地震に被災した時に被接合材である大梁あるいは柱が損傷するため、被災後の継続使用が困難になることが懸念される。大地震に被災した後でも早期に建物の継続使用・機能回復が可能となるように、接合部品を意図的に先行降伏させることで被接合材を弾性に保ち、損傷した接合部品のみを取り替え可能な架構システムを開発する目的で、H形強軸柱とH形梁をスプリットティ接合する架構を対象として、この目的に叶うスプリットティの設計法に資するための解析的検討ならびに実験的検討を行った。 今年度は、前年度までに行っていた自主研究の成果を整理し、これをもとにして架構が有する塑性変形能力を維持・向上させ,剛性や耐力を溶接接合形式にできるだけ近づけられるようなティフランジ塑性化スプリットティの形状を見出す目的で、スプリットティの形状を変化させた4種のト字型架構試験体を製作し、地震時の挙動を模した載荷実験を実施し、次の知見を得た。 ティフランジの切削加工を適切に施すことで塑性変形能力を向上させられる結果を得た。剛性向上を主眼としたモデルでは,層間変形角R=1/33rad程度までの変形追随性を確保しながら変形能力向上を主眼としたモデルに比べて剛性で12.6%,最大耐力で7.3%の向上が見られた。一方で、破断までの塑性変形能力は低下した。従来の溶接構法に対する提案モデルの弾性剛性・最大荷重は,約70%~80%となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度中に実施予定とした解析的検討ならびに実験的検討がほぼ予定通り進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、柱梁サイズの変化による影響を検討する予定であったが、サイズの違いによる影響は解析によって予測が可能なことが判明したので、次のように研究を進める。 提案工法を用いたト字型架構実験(2020年度実施)の結果を踏まえて、次の要因をパラメータとして2体程度の架構実験を行う ・柱への負荷が大きい十字型とした場合の影響、ならびに左右の梁段差の有無の影響
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Causes of Carryover |
状況:コロナ禍の影響で、研究分担者との打ち合わせをWEB会議で行うことが多く、旅費が少なくなったこと、ならびに人件費・謝金を節減できたことが主な理由である。 使用計画:今年度実施する試験体製作費(物品費)に充てる予定である。
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