2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of wave-based numerical methods able to predict room acoustics at full audible ranges
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20K04806
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥園 健 神戸大学, 工学研究科, 助教 (40727707)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 室内音響シミュレーション / 波動音響シミュレーション / Partition of Unity FEM / 拡張作用境界 / 高性能音響解析 / 吸音材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、建築音響分野において、従来困難とされてきた、可聴域全域、かつ、高精度な境界条件に基づく室内音響予測を可能とする波動数値解析技術の確立である。具体的にはPartition of Unity FEM (PUFEM)による室内音響解析手法の開発を試みている。令和2年度は以下の研究成果を得た。 (1) 8節点六面体要素を用いた3次元PUFEMコードを作成し、ダクト内の平面波伝搬問題、ならびに、吸音境界を有する立方体室の音波伝搬問題を用いて、妥当性を示した。ただし、課題として、PUFEMでは様々な方向に伝搬する平面波を用いて要素節点での音圧を近似するが、3次元解析では、平面波の伝搬方向を決定するのに必要な単位球の適切な離散化方法の探求や節点に付加する平面波数の適切な設定法の開発が重要であることがわかった。 (2) 微細穿孔板ならびに通気性膜吸音体を拡張作用境界として扱う吸音モデルを2次元PUFEMコードに実装した。伝達マトリクス法による理論値ならびに音響管法による実測値との比較から妥当性を示し、その有効性を従来FEMとの比較から明らかにした。 (3) PUFEMでは要素行列の数値積分部分が計算のホットスポットとなる。音響管問題を用いて、数値積分点数と解析結果の誤差の関係を精査し、従来式よりも効率的な数値積分点数の設定方法を開発した。 (4) 線型方程式の効率的なスパースソルバとして知られるPARDISOをPUFEMへ実装し、(3)で開発した設定法のもと従来法と性能比較を行った。ソルバ部分においては、従来法に比べ著しい効率化が達成され、全体としても並列化により大幅な高速化が可能であることが分かったが、依然として行列生成部の効率化が重要なことを明らかにした。 本年度は上記の(2), (3)に関して成果を学術論文誌へと投稿し,そのうち1編は掲載決定済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度として、ある程度の計算効率化を図った3次元PUFEMによる室内音響解析手法を構築し、その基礎的な妥当性を示した点、ならびに、得られた成果の一部を2編の学術論文としてまとめ学術誌へと投稿した点、は大きな成果と考えている。しかし、当初予期していなかった点として、3次元解析におけるパラメータ設定の難しさ、ならびに、要素行列計算の更なる効率化の必要性、が明らかとなり、当初予定していた大容積の室内音場の解析を行うことができなかった。そのため3)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,線形ソルバに着目した効率化を当初行う予定であったが,前年度にスパースソルバを実装することでソルバ部分に関しては実用上問題ないレベルでの効率化を果たした。そこで、前年度明らかになった重点課題である要素行列計算の効率化、頑健な単位球の離散化方法の探求、頑健な平面波数の重畳数の設定方法の開発、をまずは集中的に検討し、大容積の室内音場への適用を試みる予定である。
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Research Products
(4 results)