2022 Fiscal Year Annual Research Report
いつでも聴き取れるを実現する屋外拡声システムの分散配置デザイン
Project/Area Number |
20K04807
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 逸人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346233)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 防災行政無線 / 屋外拡声システム / 分散配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
防災情報を提供する屋外拡声システムは聴こえにくいという問題がある。これを回避する方法として,スピーカをできるだけ多く分散配置し,必要最低限の音圧レベルで拡声する方法の確立が本研究の目的である。 2022年度は以下の3つについて研究を行った。(1)無人測定システムによる長期実測:1年間の定点実測結果より,基準点と受音点の距離が長くなるほど音の減衰量のばらつきは大きくなることを示し,さらにそのばらつきを季節による気温・湿度の影響と地形と密接に関係する風速・風向の影響でおおよそ説明できることを示した。(2)音線法による幾何音響シミュレーションの精度向上:ゲームエンジンであるUnity上で動作する音線法シミュレーション環境に,境界面エッジの自動抽出法とそのエッジと音粒子の距離に応じた回折角を与えて音粒子の軌道を曲げる方法を実装し,回折による建物背面への音の回り込みを考慮できるようにした。ただし,本研究の範囲では2次元での検討に留まり,都市街区の3次元シミュレーションへの実装には至らなかった。(3)正常性バイアスを打ち破るために必要な音圧レベル:警報音を含む実際に使用されているサイン音を対象として,「緊迫感を感じ始める」音圧レベルを求める心理実験を行った。その結果,実験に用いた警報音の範囲では,緊迫感を感じ始める音圧レベルは65dBから70dB程度であった。 研究期間全体の成果は以下の通りである。(1)聴取点で緊迫感を与えるために最低限必要な音圧レベルが65dBから70dB程度であることを明らかにした。(2)スピーカからの距離による音圧レベルのばらつきの実例を示し,スピーカを分散配置する際の各スピーカのサービスエリアを考える際の根拠資料を得た。(3)都市街区における屋外拡声システムの明瞭性予測について,音線法によるシミュレーションの有効性を示した。
|