2020 Fiscal Year Research-status Report
Developing sustainability assessment method for next-generation agricultural facilities
Project/Area Number |
20K04810
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鍋島 美奈子 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (90315979)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 施設農業 / 暖房負荷 / 再生可能エネルギー / 下水熱利用ヒートポンプ / 太陽熱温水器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は次世代都市農業の資源を,都市近郊の『①人材』,『②スペース』,『③エネルギー』であると考え,それらを総合的に評価するため,持続可能な都市農業の適地を探索するための総合評価指標の開発を目的としている. 2020年度は,大阪市内での「太陽光型施設農業」を想定し,現存する大阪市内の農地を対象にGISを用いた空間分析をおこない,暖房用に必要な熱を再生可能エネルギーで賄うことが可能な農地の割合を調べた結果,全体の56%,858筆の農地で下水熱利用のヒートポンプ給湯機の設置が可能であることがわかった.残りの44%は農地周辺に下水配管の流量が少なくポテンシャルが十分でないとの結果になり,空間的に偏りがあることを明らかにした. 次に温室トマト栽培を想定した暖房負荷を算出し,下水熱利用温水暖房システムの運用にかかる1次エネルギー消費量,CO2排出量を算出した.比較対象は,再生可能エネルギーである太陽熱利用の温水暖房システム,重油を使用する温水ボイラーによる暖房システムとした.下水熱,太陽熱ともに熱供給が不足する場合は補助重油ボイラーが稼働することとした.結果の一例として,重油ボイラーによる暖房システムと比較して,二酸化炭素排出量は下水熱利用システムで 29.2%、太陽熱利用システムで12.7%の削減が可能であるという試算結果になった.下水熱利用システムでは,循環ポンプの消費電力が全体の27%,残り73%がヒートポンプの消費電力となり,更なる削減に向けては循環ポンプ消費電力削減が課題となることがわかった.また,太陽熱利用の場合は集熱器の設置面積を農地全体の敷地面積の5%という条件で試算をおこなったため,暖房負荷がほとんどまかなえず,補助ボイラーに頼る結果になったので,集熱器設置面積の確保が課題であることがわかった. 以上,2020年度は下水熱活用の可能性を中心に検討をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の国内外の調査は後回しにして,シミュレーションによる検討から始めることとした.まず,都市農業において活用可能な再生可能エネルギーとして,下水熱と太陽熱を選定して,エネルギーの観点から持続可能性を評価することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「人材」(人口)や「スペース」(土地利用)の空間情報と併せて,総合評価可能な指標の検討を進めていく必要がある.
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国内外の調査費用としてみていた旅費がほどんど使用できなかったため.2021年度は状況が改善すれば,旅費の使用が増えると見込んでいる.
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Research Products
(1 results)